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ダイレクト通販マーケティング理論®を活用した売れるネット通販・ECサイト・ネットショップ構築講座

【第3回】売れるネット通販の仕組みに必要不可欠なUVPの作り方

 2017/08/14 ダイレクト通販マーケティング理論®︎
この記事は約 53 分で読めます。 1,430 Views

ダイレクト通販マーケティング理論®を使った売れるネット通販・ECサイト・ネットショップの仕組みを構築していく上で一番重要なものがUVPです。

本記事では、UVPが一体どういうものなのか、また、なぜ売れるネット通販の仕組みに必要不可欠なのか、またそれをどのように作っていくのかを一から詳しく解説していきます。

◉売れるネット通販の仕組みになぜUVPが重要なのか?

UVPとは、Unique Value Propositionの略称で、「顧客に提供できる唯一無二の価値」のことを指すマーケティング用語です。

具体的に言えば、UVPとは、自社(自分)が一体どのような個性を持っている何者なのかを文字に落とし込んだものです。もっと簡単に言えば、自社(自分)の在り方を文字として示したものです。

なぜ、ダイレクト通販マーケティング理論®を使ったネット通販ビジネスにおいてUVPが重要なのか?それは、UVPこそが小さな通販会社が競合ひしめく市場で、価格競争や性能競争に巻き込まれずに、売上をのばし続ける唯一の方法であるからです。

なぜここまでいいきれるのか、それには次の2つの理由があります。

理由1:UVPが絶対比較であること

理由2:小さい会社がお客様を巻き込める最大の要素がUVP

それぞれどのような理由なのかを詳しく解説していきます。

理由1:UVPが絶対比較であること

少し抽象的でわかりにくいと思いますが、よく似た意味で使われるマーケティング用語であるUSPとの違いを考えてみると分かりやすいと思います。

USPとは、Unique Selling Propositionの略称で、「顧客に提供できる独自の売りや強み」を表します。

主にUSPは、商品やサービスの特徴や価格、性能、成分など競合他社などと比較されやすい項目の中での独自の売りや強みを指します。

「USPを見出すことで他社と差別化を図る」というのが一般的なマーケティング手法として知られています。

しかし、元々、価格や性能、成分などは比較されやすいと同時に、競合他社が簡単に真似出来てしまうものなので、例えUSPを見出したとしてもすぐに真似されてしまい、そこから価格競争や性能競争などに発展してしまいます。

そういった競争においては、資金力や社会的影響力、信用力がものを言います。

例えば、サプリメントとして小さなネット通販会社が売っていたものを、大手が資金を投下して、よりお客様にとって信頼性の高い医薬品として販売してしまえば、小さなネット通販会社のお客様は一気に奪われ、売上が低下してしまいます。

医薬品の認可には非常に複雑な手続きと、多大な資金が必要なため、資金力の乏しい小さなネット通販会社が簡単にできるようなものではありません。

また、大手通販会社は社会的影響力や信用力があるため、USPのような比較対象になりやすい価格や性能、成分などが他社よりも優れていることを示せば売れます。

しかし、ほとんど名前も知られていない小さな通販会社がたとえ大手通販会社よりも性能の良いものや成分が良いものを販売したとしても、お客様に信用してもらえずなかなか売れません。

つまり、USPで差別化が図れるのは、資金力や社会的影響力、信用力のある大手通販会社だけであり、小さな通販会社がUSPで差別化を図っていくのには、限界があるということなのです。

西村先生
私のところに相談に来るネット通販会社の多くは、このUSPでものを売っているという共通点があります。USPで売っているために、大手の参入により売上が簡単に落ちてしまったり、商品はいいはずなのになかなか売れずに悩んでいることが多いのです。

一方でUVPは、自社(自分)の個性(らしさ)を商品に投影させるため、自社(自分)の価値観や世界観を通して価値がお客様に伝わります。そのため、比較対象になることはありません。

このように、UVPとUSPの決定的な違いは、USPが相対比較なのに対し、UVPが絶対比較であるということです。

全く同じ個性をもつ会社は2つとして存在しない以上、このUVPをしっかりと構築していくことで価格競争や性能競争などに巻き込まれることなく、他社と差別化ができてしまいます。

USPのように「A社とB社とC社で比較した結果、A社の方が安かったからA社の商品を買おう」と言った具合に「他社と簡単に比較される差別化」ではなく、そもそも他社との比較対象にならなない、比べられないために「A社から買いたい」と強固な差別化を図ることができるのがUVPの最大の特徴です。

理由2:小さい会社がお客様を巻き込める最大の要素がUVP

西村先生
あいけんさんはロバート・チャルディーニ氏の『影響力の武器』という書籍を読んだことはありますか?
通販ライターあいけん
いえ、読んだことはありません。それが「UVPこそが小さい会社がお客様を巻き込める最大の要素であること」と何か関係あるのでしょうか?
西村先生
はい。「影響力の武器」は30年以上も前に出版された書籍ですが、30年経った今でも「人がどのような物に影響され、動かされるのか?」という顧客心理を学ぶ良著としてさまざまな企業のマーケティングに活用されています。
通販ライターあいけん
そうなんですね。
西村先生
「影響力の武器」という言葉が「人が何か決断をする際に、無意識に拠り所にしてしまう要因」を指す心理用語にもなったほどです。例えばペンを買う時などは、種類が多すぎてどれを選べば良いのかが分からなくなったり、薬など商品を選ぶのにハイレベルな知識が必要な場合には、知識がなさすぎてどれを選べばよいかがわからなくなってしまうことってよくありますよね。そんな時、人は、無意識のうちに影響力の武器を利用し、どのペンを買うのかの決断してしまうのだそうです。
通販ライターあいけん
そうなんですね。
西村先生
そんなロバート・B・チャルディーニ氏の新しい著書『Pre-Suasion』(日本語版未発行)によれば、人は主に次の1から4の順番で、影響されていくのだそうです。
  1. エビデンス(実証)
  2. パワー(権威)
  3. ストーリー
  4. 文化(世界)

エビデンス(実証)とは?

西村先生
エビデンスというのは、実証結果のことを指します。実際、商品パッケージには「この薬はこんな風に良いよ」という宣伝文句が書かれていると思いますが、多くの人はそんな自画自賛の宣伝文句を信用しません。おそらくあいけんさんも風邪薬のパッケージに「この薬は良く効きます」などと書かれていても信用することは無いと思います。
通販ライターあいけん
そうですね。自社が自社の商品を「良い」って言ってるのってなんだか胡散臭いです。
西村先生
そうでしょう。そのため、それだけでは人は商品を購入しようと思いません。その商品が良いという根拠や証拠がなければその宣伝文句が「本当かどうか?」信用できませんよね。そこで、「Amazonランキング医薬品カテゴリー第1位」や「1000人中998人が効果があった」「当店薬剤師おすすめNo1」など第三者による実証結果、つまりエビデンスこそが一番無意識下でお客様に行動を促す力があるということなのです。
通販ライターあいけん
確かに、いままでの買い物を振り返ってみると、そういう第三者の実証結果を見て買っていることって非常に多いと思います。

パワー(権威)とは?

西村先生
エビデンスの次にお客様に行動を促す力が強いものが「パワー」です。パワーとは権威のことです。たとえば同じ商品でも「○○博士推奨」「厚生労働省認定」または、「トヨタ」「資生堂」など、社会的信用力の大きな人や会社、国の名前がついているだけで、この商品は無条件で良いものだと感じてしまいますよね。
通販ライターあいけん
確かに、よく知っている人や会社、国などの名前がついている商品の方が「良い」と思ってしまうことがよくあります。
西村先生
そうでしょう。また、もっと身近な例をあげると「社長の鶴の一声」もこのパワーにあたります。例えば、課長、部長と承認を得て練り上げてきた企画が社長の一声で却下されることはよくあると思います。その時に社長に反論する腹のすわった人はなかなかいないと思います。このように、エビデンスの次に人はパワーに影響されやすいと言われています。

ストーリーこそが中小企業が使える最強の武器

西村先生
実はこのエビデンスとパワーを使って商品を販売するためには、エビデンスデータの実証が行える資金力や、聞いただけで何の会社かが分かるようなネームバリューや社会的信用力が必要になります。つまり、だれもが名前を知っているような大手の会社にしかこのエビデンスやパワーは影響力の武器として使えないということなのです。
通販ライターあいけん
では、小さなネット通販会社が影響力の武器を使うのは厳しいということでしょうか?
西村先生
いえ、表1のパワーの次のものを見てください。
通販ライターあいけん
ストーリーですか!?
西村先生
はい。エビデンスやパワーは大手にしか使えないものですし、たとえ中小が使ったとしても大手の参入ですぐに負けてしまいます。そんな小さな通販会社が大手に対抗し、顧客に「商品を買いたい」と思わせられる影響力の武器こそがストーリーなのです。
通販ライターあいけん
ストーリーで共感してもらって、商品を買ってもらうということですか?
西村先生
はい。人は感情の生き物です。「経済は感情で動く」と言われますが、商品を購買する際も実は人は感情で動かされるものなのです。例えば、アップル社の製品を考えてみてください。新しいiphoneが出た時に、アップルファンの方が、他者のスマートフォンと性能や価格を比べて購入したりするでしょうか?
通販ライターあいけん
いえ、しないと思います。
西村先生
そうですよね。アップルファンの人の選択肢はiphoneの1択だと思います。きっと他社のスマートフォンは眼中にありませんよね。もちろんアップルというネームバリューやブランド力の影響もあると思いますが、これは多くの人がアップルという会社のストーリー(創業ストーリーやスティーブ・ジョブズのものづくりやデザインにかける情熱や想い、行動など)に共感し、「アップル社の商品が欲しい」と顧客に強烈に思わせているためです。これがストーリーの力です。
通販ライターあいけん
確かにそうですね。私もアップル商品は大好きですが、iphoneの性能や機能、価格なんてもので他社製品と比較したことは一度も無いですね。すべて「アップルの商品が欲しい」という1択で購入しました。恐らくiphoneよりも性能の良いスマートフォンはあると思いますが、たとえ性能が悪くても私はiphoneを選んでいたと思います。やはりスティーブ・ジョブズのものづくりやデザインにかける情熱に、同じくものづくりに携わる人間として共感しますし、アップル製品を使っているだけでその情熱を感じるというか、ワクワクしてくるんです。これがいわゆるストーリーの力なんですか?
西村先生
そうです!まさにストーリーこそが、ダイレクト通販マーケティング理論®で言う「UVP」になるわけなのです。アップル社の商品は創業者のスティーブ・ジョブズのものづくりに対する情熱がUVPとして投影された商品が販売されているので、そもそも他社との比較にならず、「アップル社の商品が欲しい」と顧客に思わせることに成功している一番良い例なんです。
通販ライターあいけん
なるほど。UVPを創ることで、いわゆるその創業者の想いに共感してもらいファンを作っていけるということなんですね。
西村先生
はい。ファンを作ることでそもそも、価格競争や、性能競争など比較対象にならず、強烈に他社と差別化を図ることができるという訳なのです。これがUVPを作り込むことで他社との差別化ができる理由です。

UVPは誰もが持っているモノ

通販ライターあいけん
アップル創業者のスティーブ・ジョブズのような想いや情熱、行動なんて持っている人ってなかなかいないんじゃないですか?
西村先生
そう思ってしまうのも無理はありません。普通は「自分なんてスティーブ・ジョブズに比べたら・・・」と思ってしまいます。しかし、それは自分の中で勝手にハードルを上げているだけにすぎません。実はUVPは誰もが持っているものなのです。
通販ライターあいけん
えっ!?じゃあ僕もUVPは持っているということなんですか?
西村先生
はい。そもそもUVPとは人の価値観や世界観(その人の個性そのもの)ですから、持っていない人はいません。あいけんさんだって自分独自の価値観や世界観(その人の個性そのもの)を持っているでしょう。
通販ライターあいけん
確かにそうですけど・・・。
西村先生
確かにアップルの例を考えると「自分の価値観や世界観(その人の個性そのもの)をちっぽけだ、共感してファンになってしまう人なんているのか?」と不安に思ってしまうかもしれません。しかし、そんなことは無いんです。例えばあいけんさんは、小説の主人公に共感した経験はありますか?
通販ライターあいけん
はい。あります。
西村先生
どんな主人公に共感しましたか?
通販ライターあいけん
何をやらせても中途半端な若者が、それでもミュージシャンになる夢をあきらめきれずに一生懸命追いかけ続ける姿に自分を重ねてしまい共感しました。
西村先生
そんな中途半端な若者でも、一生懸命夢を追いかけるストーリーで人を共感させることができるということですよね。
通販ライターあいけん
確かにそうですね。
西村先生
UVPは自分には無いとかってに思っているだけで、誰もが人を共感させるストーリーを持っているということなんです。たとえ成り行きで始めたネット通販会社であっても、UVPを作ることが出来るという事なんです。よく「UVPなんて作れるほど、私はたいした人間ではないですよ」と決めつけてしまう方が多いのですが、誰でもUVPは作ることができるんです。

UVPをネット通販に活用する方法とは?

西村先生
ここまでで、UVPがなぜ小さなネット通販会社にとって重要であり、UVPを作り込むことでなぜ差別化ができるのかは理解していただけたと思います。
通販ライターあいけん
はい。
西村先生
ここからはUVPをどのようにネット通販に活用していくか、その方法論を詳しく解説していきますね!
通販ライターあいけん
よろしくお願いします。
西村先生
では、解説の前にまず質問です。通販の売り方の定義は何だと思いますか?
通販ライターあいけん
「差別化をして売れ」ですかね?
西村先生
それもありますが、私は通販の売り方について次のように定義しています。
通販の売り方の定義 人を通して「生き様」と「らしさ」を商品に投影させ、価値観で引き寄せ、世界観で惚れさせろ
通販ライターあいけん
どういうことでしょうか?
西村先生
つまり「UVPを投影して共有されること」が通販の売り方の本質であり、小さなネット通販会社が、市場に唯一無二の価値を創り出すことができる最短ルートだということです。ネット通販では、UVPを次の図のように商品コンセプトに投影して活用していきます。そうすることで「商品を商品として売らない」唯一無二の商品コンセプトを作ることができるのです。

創業社長でない場合にはどうすればよいか?

通販ライターあいけん
しかし、ネット通販会社って、創業社長ではなく、社員が社長としてやる場合も多いと思うんです。UVPは人の価値観や世界観(その人の個性そのもの)そのものなので、社員が創業社長のUVPを投影して商品を売るとなんだか「やらされている感」が出てしまいませんか?例えば、創業社長ではなく、雇われたCEOが創業社長のUVPを語ってもいまいちピンとこないというか、違和感がどうしても出てきてしまうと思うんです。
西村先生
いいところに気づきましたね。実際に「ネット通販事業を社員を社長にたててやりたい」と相談に来られるケースは非常に多いんです。あいけんさんの言う通り、創業社長のUVPを社員が語ると「やらされている感」が出てしまいますし、違和感が出てきてしまいます。何より社員自身が「作業」としてやってしまうので、やりがいもなくなってきて長続きしないパターンが多いのです。
通販ライターあいけん
そうですよね。社員がやめちゃったら終わりですもんね・・・。一体どうすればいいのでしょうか?
西村先生
社員が社長としてネット通販をやる場合には、創業社長のUVPに社員のストーリーを商品コンセプトに反映させてあげるのがポイントです。そうすることで、社員もテンションが高い状態で「作業ではなく自分ごと」としてネット通販に取り組めますし、自分のストーリーが入って入る分モチベーションも高くなりますよね。これが、創業社長ではなく、社員がネット通販をやって長続きするコツなんです!

通販ライターあいけん
なるほど。確かに「やらされている感」や「作業」としてネット通販をやっているよりも自分のストーリーが反映された商品コンセプトがあると、自分の想いが詰まった商品を販売するという意味でやる気が出てきそうですよね。
西村先生
そうですね。「作業」でやっていては、社員にとって何の面白みもないので、途中で会社を辞められてしまうケースが多いんですよ。先程説明したように、社員のストーリーを商品コンセプトに反映させることで、やりがいを創出してあげることが、成功の秘訣です。

UVPの作り方

通販ライターあいけん
UVPを構築することが小さなネット通販会社にとっていかに重要なのか、またいかにメリットがあることなのかがよく理解できました。早速、UVPを作っていきたいのですが、具体的にどのようなプロセスで作っていけば良いのでしょうか?
西村先生
そうですね。ご説明いたします。しかし、その前にUVPを構成する5つの要素から解説していきましょう。

UVPを構成する5つの要素

西村先生
UVPは次の図のように「誰が言うのか?」「何を言うのか?」「ストーリー」「ギフト」「世界観」という5つの要素から成っています。

通販ライターあいけん
5つの構成要素があるんですね。それぞれ一体どのようなものなのでしょうか?
西村先生
それぞれ次のように定義される項目です。
誰が言うのか? 自分が過去から未来にかけて一貫して持っている価値観
何を言うのか? 自分が商品やサービスを通して提供できる唯一無二の価値
ストーリー 過去の栄光と挫折、そこから得られた教訓など様々なエピソードの中からUVPと一番合うものを切り出して創った自伝的なショートストーリー
ギフト 「相手に提供し続けて輝くこと」と定義。切り出したストーリーの中で一番印象的なシーン
世界観 その人の個性そのものから生まれてくる考え方(あり方)のこと
西村先生
つまり、ダイレクト通販マーケティング理論®の本質は、時分自身が過去から未来にかけて一貫して持っている価値を、商品やサービスを介してお客様に提供することにあるのです。そして、その提供する価値こそがUVPになるわけなのです。
通販ライターあいけん
なるほどですね。繋がりました。
西村先生
「誰が言うのか?」「何を言うのか?」「ストーリー」「ギフト」「世界観」という5つの要素をそれぞれ創り出すことによって、UVPが構築されます。では、早速作っていきましょう。
通販ライターあいけん
どのようなプロセスで作っていけば良いでしょうか?
西村先生
本当は①誰が言うのか?②何を言うのか?③ストーリー④ギフト⑤世界観、の順番で創っていくのですが「いきなり『自分の過去から未来にかけて一貫して持っている価値観』を書いてください」と言われてもなかなか難しいですよね。
通販ライターあいけん
そうですね。いきなり価値観と言われても、何をかけば良いのかが分かりません。
西村先生
よりこれらを体系的に分かりやすく作れるように「9マス自分史の箱」というツールを使って、これらを構築していきます。具体的には次の①〜⑨のマスで構成されるツールです。

西村先生
この9マス自分史の箱を埋めることで、まずはUVPのベースとなる素材が自然と出来てしまいます。このベースを元に、「誰が言うのか?」「何を言うのか?」「ストーリー」「ギフト」「世界観」を創っていくという手順で、UVPを構築していくのです。

9マス自分史の箱は、具体的には次のような1〜5の手順で創っていきます。

  1. 9マス自分史の箱を埋めてUVPのベースを構築する(※自分マッピングを含む)
  2. マンダラート発想法を使って思考を広げる
  3. 9マス自分史の箱を活用してUVPを構文化する
  4. 4段構成のストーリーを作成する
  5. 「何を言うのか?」を構築する(※取り扱う商品ジャンルの選び方を含む
通販ライターあいけん
なるほどですね。
西村先生
もっと言えば、このような右脳的サポートツールを使って発想していく方がより本質に近いものが出来上がります。より本質に近いUVPが出来上がることで、個性が商品やサービスを介して100%お客様に伝わりますので、より人を巻き込む力が強くなります。
通販ライターあいけん
なるほどですね。
西村先生
例えば9マス自分史の箱の①の「ビジョン」という部分は、私たちが死んだ時に墓石に刻めるような「○○を△△する」というビジョンを4部構成のストーリーで語ったものです。例えば私の場合は、「小売業の変革を通販で実現する」というのが墓石に刻みたい文章であり、これを4部構成のストーリー仕立てで語ったものが私の「誰が言うのか?」の部分にあたります。

つまり、私の子供が「父・母は『○○を△△とする』という壮大なビジョンの実現を目指していたが道半ばでこの世を去ってしまったんです・・・」と言えるようなものが「誰が言うのか?」の部分になります。これをたまに商品ありきで考えてしまう方がいらっしゃいます。頭が良く左脳的な思考をされる経営者の方に多いですね。

例えば「あなたのビジョンはなんですか?」と聞かれた時に「サプリメントの販売価格を今より30%安くする」と仕事の目標を答えてしまう人がいます。これは目標であって「ビジョン」ではありません。もし仮にこれを「ビジョン」とすると、墓石に「サプリメントの販売価格を今より30%安くする」と書くことになります。事業の目標としては素晴らしいんだけれども、これが墓石にかかれていると仮定するとなんだか少し違和感を感じませんか?

通販ライターあいけん
確かにそうですね。
西村先生
その人の子供が「父・母は『サプリメントの販売価格を今より30%安くする』という壮大なビジョンの実現を目指していたが、道半ばでこの世を去ってしまったんです・・・」って言ってるのを想像すると、人生の目標としてすごくチープに聞こえてしまいますよね。このビジョン、すなわち「誰が言うのか?」という部分が壮大であればあるほど、ビジネス・商品展開もしやすくその分売上も大きくなってくるということなんです。
通販ライターあいけん
「世界を変える」という壮大なビジョンを掲げた人は、サプリメント、不動産事業などさまざまな事業展開を行うことに違和感が出ないけれども、「サプリメントを今より30%安くする」というビジョンを掲げた人がサプリメント以外の事業展開をすると、「なぜ?」という違和感が出てきてしまうということですね。
西村先生
そういうことです。ですから「誰が言うのか?」という部分が壮大であればあるほど、売上もそれだけついてくるということなんです。しかし、ここで注意なのですが「壮大でなければならない」という結果からの逆算でここを考えてしまうと、自分自身の本質的なUVPが出にくくなってしまうので注意してください。

UVPを作り込む上で注意すべきポイント

通販ライターあいけん
9マス自分史の箱を使ってUVPを実際に構築していく際に、注意すべきポイントや、おすすめのやり方などはありますか?
西村先生
はい。ぜひ次のようなことを意識してやってみてください。これがスムーズにUVPを作り込むコツです。

・他人の無責任なフィードバックを受ける

・文章の体裁にとらわれない

・結果から逆算して答えをださない

ポイント1:他人の無責任なフィードバックを受ける

通販ライターあいけん
「他人の無責任なフィードバック」とはどういう事ですか・・・?
西村先生
実は、9マス自分史の箱を自分で埋めようと思っても、自分の頭で考えられるワードや印象、または左脳的思考で言葉を考えてしまいます。そうすると、自分の枠を越えることができません。そのため、他人のワードや自分に対する印象のフィードバックを受けることで、自分の思考の枠を越え、より本質的な自分のUVPを作成することが可能になります。例えば、あいけんさんは自分では自分のことを「かっこいい」寄りか、「かわいい」寄りかどちらだと思っていますか?
通販ライターあいけん
うーんどちらかと言えば「かっこいい」寄りですかね。
西村先生
しかし、私はあいけんさんと始めてあった時「かっこいい」というよりは「かわいい」寄りな印象を受けました。このように自分が考えている自分のイメージや考えと、他人から見たイメージや考えが違っている場合が非常に多いのです。そのため、例えばあいけんさんがキザなかっこいいセリフを言ったところで私には違和感しか感じません。しかし、あいけんさんが「西村さん、おごってくださいよ〜」など人懐っこいようなセリフを言うと違和感なく聞こえます。このように、自分から見たイメージや考えだけでは、世間の印象やイメージとは乖離がある場合が多いので、それを補正するために他人から見たフィードバックが有効なのです。
通販ライターあいけん
なるほどですね。自分自身の持つイメージや考えだけでUVPを作っても、それが世間のイメージや印象とずれてしまうと、違和感が出てきてしまい、巻き込む力が弱くなってしまう訳なんですね。
西村先生
そうなんです。ちなみに、他人は親や親しい友人、知人などプラベートをよく知っている人ではなく、まったく初対面の赤の他人がベストです。私の主宰する10億通販塾や億超え通販プロデュースでは、このUVP構築を、まったくプライベートを知らない受講生同士で一緒に作っていきますので、より本質をついたUVPが出来上がります。
通販ライターあいけん
しかし、赤の他人って探すのが難しいですよね、なかなか・・・。
西村先生
そうですね。赤の他人が難しかったら、プライベートをお互いにあまり知らないビジネスパートナーや、会社の社員でも良いと想います。

ポイント2:文章の体裁にとらわれない

通販ライターあいけん
2つ目の「文章の体裁にとらわれない」というのはどういう意味でしょうか?
西村先生
人は無意識のうちに「人に良く見られたい」と思い、発言や行動をします。そのため文章も「人に見せる」ということを考えると少しでも良く見せたいという思考が勝手に働きます。そのため、自分の頭の中ではワードが浮かんでいるにも関わらず、文章として書けない方が多いんです。しかし、本質的なUVPを作るためには、出来る限り自分の本音からくるワードを文章として落としていく必要があります。「てにをは」などの文章の体裁を考えて書いていては、本質的な部分が出にくくなってしまうので、私の講座では「文章の体裁は気にしないでください」とよく言っています。かっこ悪くたって、文章にならなくったって全然良いので思いついたまま、無責任に書いていくのがベストです。

ポイント3:結果から逆算して答えを出さない

通販ライターあいけん
3つ目の「結果から逆算して答えを出さない」というのはどういう意味でしょうか?
西村先生
これは私が普段行っている10億通販塾の塾生にもよく見られる傾向なのですが、参加される皆さんの多くはご自身で何か事業をされている方が多いため、このUVPを構築する前からある程度「このようなUVPがいいのではないか?」という結果から逆算して、9マス自分史の箱を埋めていく左脳的思考をされる方が多いのです。UVPは右脳的思考で自分の無意識のレベルにまでアクセスすることでより自分の本質に近いものが作れます。しかしこのように自分で予想した結果から逆算してしまうと、自分の本質とズレが生じてしまい、それは違和感につながってしまいます。
通販ライターあいけん
なるほど。左脳的思考で作り込まないためにも、結果が見えない状態で純粋に答えを出していった方がより本質に近いUVPが作り込めるということですね。
西村先生
はい。UVPと自分の本質にずれが生じてしまうと、それだけUVPがしょぼくなってしまい、人を巻き込む力も小さくなり、売上も小さくなってしまいます。そうならないためにも、ぜひUVPを構築するプロセス中には、結果から逆算して答えを出さないことをおすすめします。
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西村 公児

西村 公児

東証一部上場企業、年商600億円の大手通信販売会社で販売企画から債権回収まで通販実務を16年経験。その後、化粧品メーカーの中核メンバーとして5年マーケティングに参画。

年商253億円のニュージーランドのシンボルフルーツ企業の販促支援でレスポンス率を2倍にアップ。

講演会や主宰する10億通販塾の経営者、延べ300名以上に「ダイレクト通販マーケティング理論」及び、「LTVベルトコンベア理論」を提唱し、『熟練技術者による技能継承訓練』の認定研修講師として活躍。

更に、国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演、東洋経済オンラインに記事連載。

また、著書にはベストセラーとなった、伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)、【小さな会社】 ネット通販 億超えのルール(すばる舎)がある。

現在、多摩大学 経営情報学部の非常勤講師として「ビッグデータの活用法」について学生に教える。

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