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ダイレクト通販マーケティング理論®を活用した売れるネット通販・ECサイト・ネットショップ構築講座

ネットショップ・ECサイト・ネット通販を開業するために守るべき法律とは?

ネットショップ・ECサイト・ネット通販などの電子商取引が初めて行われた1994年(※諸説あります)から、約20数年。

インターネットやスマートフォンの普及によって、今ではだれでも低コストでネットショップ・ECサイト・ネット通販を立ち上げることが可能になりました。

しかし、その一方で消費者生活センターには、年々ネット通販・ECサイト・ネットショップなどネット販売取引に関する相談が増加しているのが現状です。

消費者庁が平成29年に発行した「消費者白書」によれば次の表のように、消費者生活センターに寄せられる相談の中で、電子商取引(「インターネット通販」と「インターネット通販以外の通信販売」の合計)に関する相談が年々増加していることが分かります。

【参考元:消費者庁「平成29年消費者白書」より 参考URL

そのため、ネットショップやECサイト、ネット通販を始めとする電子商取引には、店舗販売などに比べてより厳しい規制が法律により行われています。

通販ライターあいけん
何も法律を知らずにネットショップやECサイト、ネット通販など開業してしまったら、思わぬ法律違反をしてしまう可能性もあるということですね。
西村先生
はい。しかし、だからと言って「ネット販売事業を立ち上げるのは私には無理かも・・・」と感じる必要はありません。「ネット販売に関わる法律がなぜ制定され、改定が繰り返されているのか?」その本質を理解し、日々変化していく法律に対応していけば良いのです。そんなに難しいことではありません。本記事では、ネットショップ、ECサイト、ネット通販を開業するなら最低限知っておくべき法律の知識についてご紹介いたします。

ネットショップ・ECサイト・ネット通販の開業時に考慮すべき法律とは?

ネットショップやECサイト、ネット通販に関して定められた法律には「ネット販売事業を立ち上げる人全員が必ず守らなければならない法律」「自社のネットショップ、ECサイト、ネット通販で取扱う商品やサービスの種類によって守らなければならない法律」の大きく分けて2種類があります。

しかし、これらを「ただ守れば良い」という認識ではいけません。

なぜなら、法律は日々変化していくものだからです。

法律をただ守るだけではなく、何を目的としてネット販売事業に関わる法律が日々改定され、厳しくなっているのか、その本質を理解しておく必要があります。

ネットショップ・ECサイト・ネット通販に関わる法律の目的とは?

ネット販売事業に関する法律は次の3つを目的に制定されています。

  • 消費者と事業者共に、公正な取引を行うこと
  • 消費者の保護
  • 事業者の権利の保護

簡単に言えば「消費者が事業者から商品やサービスを購入し、その内容に納得した上で、その対価としてお金を支払う」という公正な取引をトラブルなく行えることがネットショップ・ECサイト・ネット通販に関する法律の最大の目的です。

基本的に法律は、この目的に基づき、日々改定されています。

そのため、ネット販売事業に関する法律をただ守るだけではなく、法律の目的から逸脱した行為を行わないように心がけていくことが大切です。

このように、本質を理解すれば、法律の改定にも柔軟に対処していきながら、ビジネスを拡大していくことができるのです。

西村先生
では、ネットショップ・ECサイト・ネット通販に関する法律の3つの本質を踏まえた上で、実際にネット通販に関わる法律の詳細について見ていきましょう。

すべてのネットショップ・ECサイト・ネット通販事業者が守るべき5つの法律

まず、ネットショップやECサイト、ネット通販などネット販売事業を行うのであれば、必ず守らなければならない法律が以下の5つになります。

  • 特定商取引法(特商法とも呼ばれます)
  • 知的財産に関する法律
  • 個人情報保護法
  • 電子契約法
  • 景品表示法

それぞれ一体どのような法律なのか、またどんな点に気をつけるべきなのか、そのポイントを解説していきます。

特定商取引法

特定商取引法とは、悪徳事業者から消費者を守り、消費者と事業者が公正な取引ができることを目的とする法律です。

主に消費者と事業者の間でトラブルになりやすい次のような事業形態を対象に、事業者が守るべきルールを定めています。

  • 訪問販売
  • 通信販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 訪問購入

ネット販売事業者に適用されるのは、主に次の3つの条文です。ネットショップやECサイト、ネット通販などのネット販売も特定商取引法の対象となっている「通信販売」の一つであり、特定商取引法の対象となります。

商品の販売ページへの「特定商取引法に基づく表示」(第11条:広告の表示)の記載

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは指定権利 の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところに より、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示し なければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を 遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その 他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算 機による情報処理の用に供されるものをいう。)を遅滞なく提供する旨の表示をする場合 には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項 の一部を表示しないことができる。

一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場 合には、販売価格及び商品の送料)

二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法

三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

四 商品若しくは指定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項 (第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)

五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項特定商取引法ガイド

実際の性能や品質よりも良く見せる行為の禁止(第12条:誇大広告の禁止)

販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは指定権利 の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権 利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約の申込みの撤回又は 売買契約の解除に関する事項(第十五条の二第一項ただし書に規定する特約がある場合に は、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する 表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認さ せるような表示をしてはならない。特定商取引法ガイド

消費者の承諾なしに、事業者が電子メール広告を送る行為の禁止(第12条の3、第12条の4:未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止)

第12条の3

販売業者又は役務提供事業者は、次に掲げる場合を除き、通信販売をする 場合の商品若しくは指定権利の販売条件又は役務の提供条件について、その相手方とな る者の承諾を得ないで電子メール広告(当該広告に係る通信文その他の情報を電磁的方法 (電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務 省令で定めるものをいう。以下同じ。)により送信し、これを当該広告の相手方の使用に 係る電子計算機の映像面に表示されるようにする方法により行う広告をいう。以下同 じ。)をしてはならない。

一 相手方となる者の請求に基づき、通信販売をする場合の商品若しくは指定権利の販 売条件又は役務の提供条件に係る電子メール広告(以下この節において「通信販売電子 メール広告」という。)をするとき。

二 当該販売業者の販売する商品若しくは指定権利若しくは当該役務提供事業者の提供 する役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者又はこれらにつき売 買契約若しくは役務提供契約を締結した者に対し、主務省令で定める方法により当該 申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合にお いて、主務省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするとき。

三 前二号に掲げるもののほか、通常通信販売電子メール広告の提供を受ける者の利益 を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、通信 販売電子メール広告をするとき。

2 前項に規定する承諾を得、又は同項第一号に規定する請求を受けた販売業者又は役務 提供事業者は、当該通信販売電子メール広告の相手方から通信販売電子メール広告の提 供を受けない旨の意思の表示を受けたときは、当該相手方に対し、通信販売電子メール 広告をしてはならない。ただし、当該表示を受けた後に再び通信販売電子メール広告を することにつき当該相手方から請求を受け、又は当該相手方の承諾を得た場合には、こ の限りでない。

3 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売電子メール広告をするときは、第一項第二 号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販売電子メール広告をすることにつきその 相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受けたことの記録として主務省令で定め るものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならない。

4 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売電子メール広告をするときは、第一項第二 号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販売電子メール広告に、第十一条各号に掲 げる事項のほか、主務省令で定めるところにより、その相手方が通信販売電子メール広 告の提供を受けない旨の意思を表示するために必要な事項として主務省令で定めるもの を表示しなければならない。

5 前二項の規定は、販売業者又は役務提供事業者が他の者に次に掲げる業務のすべてに つき一括して委託しているときは、その委託に係る通信販売電子メール広告について は、適用しない。

一 通信販売電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方 から請求を受ける業務

二 第三項に規定する記録を作成し、及び保存する業務

三 前項に規定する通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思を表示するため に必要な事項を表示する業務

第12条の4

販売業者又は役務提供事業者から前条第五項各号に掲げる業務のすべてに つき一括して委託を受けた者(以下この節並びに第六十六条第四項及び第六項において 「通信販売電子メール広告受託事業者」という。)は、次に掲げる場合を除き、当該業務 を委託した販売業者又は役務提供事業者(以下この節において「通信販売電子メール広告 委託者」という。)が通信販売をする場合の商品若しくは指定権利の販売条件又は役務の 提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないで通信販売電子メール広告をし てはならない。

一 相手方となる者の請求に基づき、通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電 子メール広告をするとき。

二 前号に掲げるもののほか、通常通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子 メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主 務省令で定める場合において、通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メ ール広告をするとき。

2 前条第二項から第四項までの規定は、通信販売電子メール広告受託事業者による通信 販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告について準用する。この場合 において、同条第三項及び第四項中「第一項第二号又は第三号」とあるのは、「次条第 一項第二号」と読み替えるものとする。特定商取引法ガイド

では、それぞれの法律を守るためにはどのような行動が必要かを解説していきます。

特定商取引法に基づく表示

特定商取引法では、ネットショップやECサイト、ネット通販など商品を販売するHPに次の13項目を記載した「特定商取引法に基づく表示」を行うことが義務付けられています。条件によっては表示を省略できるものもあります。

  1. 販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
  2. 代金(対価)の支払い時期、方法
  3. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
  4. 商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む。)
  5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  6. 事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
  7. 申込の有効期限があるときには、その期限
  8. 販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
  9. 商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
  10. いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
  11. 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
  12. 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
  13. 電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
西村先生
「特定商取引法に基づく表示」の書き方について、より詳しく知りたい場合には、次の記事に詳しく解説したので、合わせてお読みください。

>>ネット通販に必要な「特定商取引法に基づく表記」の書き方

知的財産に関する法律

知的財産権とは、人がオリジナルで創作したものに与えられる権利であり、それが他人に無断で利用されないよう守るために存在する法律です。

知的財産権には、次のように大きく分けて3種類の知的財産権が存在します。

ネット通販においては、主に開発する製品の仕様や、ネットショップ、ECサイトネット通販のホームページの表示内容(画像、キャッチフレーズなど)などでこれらの知的財産権を守る必要があります。

表1、知的財産権の種類

産業財産権 産業にかかわる製品などが、他者に無断で利用されないように保護する権利です。別名「工業所有権」とも言われます。もしこの産業財産権がなければ、コピー商品などが市場に多く出回ってしまいます。

主な産業財産権

  • 特許権
  • 実用新案件
  • 商標権
  • 意匠権
著作権 「思想または感情を創作的に表現したものの内、文学・学術・美術・音楽の範囲に属する」創作物を保護する権利です。

主な著作権

  • 著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)
  • 著作財産権(複製権・上映権・演奏権・公衆送信権・口述権・頒布権・展示権・譲渡権・貸与権・翻訳権・翻案件)
  • 著作隣接権
その他の知的財産権 産業財産権、著作権以外の知的財産権です。

主なその他の知的財産権

  • 肖像権
  • 育成者権
  • ドメインネーム
  • 回路配置利用権
  • 不正競争防止による権利
  • 種苗法による権利

個人情報保護法

個人情報保護法とは、ネットショップやECサイト、ネット通販などで取扱う「アクセスログ」や「購入履歴」「クレジットカード情報」「電子メールアドレス」など顧客の個人情報の管理を事業者に義務付ける法律です。

主に個人情報の「利用目的」や「第三者への提供」「保有する個人情報に関する項目」などが規制されており、消費者から個人情報を収集したり、利用したりする場合には個人情報の取り扱い方針を記載した「プライバシーポリシー」を記載しなければなりません。

2005年4月より全面施行された個人情報保護法のガイドラインでは「保有する個人情報が5,000件未満の場合は規制の対象外」となっていますが、今後規制の強化もあり得るため、これからネットショップ、ECサイト、ネット通販を開業する場合には、個人情報取り扱い保護法に基づく「プライバシーポリシー」を掲載しておくようにしましょう。

電子契約法

電子契約法とは、ネットショップ、ECサイト、ネット通販など電子商取引における「契約時期」を規制する法律です。

ネット通販においては、消費者がショッピングカートなどを使用することで事業者に注文を行い、事業者側が注文を承る旨の確認メールを発信、それが届いた時点で「契約成立である」と定めています。

ただし、ネット通販の場合では、消費者が注文を行なった際に、その内容を最終確認できる「入力内容の確認画面」を設置し、消費者が購入前に注文内容を最終確認できるようにすることが義務付けられています。

インターネットで何か買い物をする際、基本的に次のような流れで商品を注文すると思います。

  1. お客様情報の入力
  2. お届け先情報の入力
  3. 配送方法の入力
  4. お支払い方法の入力
  5. 入力内容確認
  6. 注文確定

注文確定の前には必ず「入力内容の確認画面」が出てくると思いますが、これは電子契約法によってネット通販などネット上での取引契約において義務付けられているものなのです。

西村先生
事業者目線から考えれば「面倒だな」と思ってしまいますが、もし間違った入力をしたまま注文が確定してしまった場合には、必ず事業者と購入者の間でトラブルが発生してしまいます。だからこそ、購入者が間違った入力をしていないか自分で確認ができるように法律で定めてあるということなのです。すべては「消費者、事業者共に公正な取引」を行うことを目的としています。

景品表示法

景品表示法は、商品を実際よりも良く見せる不当表示や、豪華すぎる景品などの提供などの不当表示や不当景品から消費者を守るための法律です。

主に商品の「不当な表示」「過大な景品類の提供」について規制されている法律です。

西村先生
今は、ネットショップ、ECサイト、ネット通販などネット販売を促進するためにWeb広告(リスティング広告など)が使われるのが当たり前の時代です。そのため日に日にこの景品表示法の規制が厳しくなってきています。もし法律違反となってしまった場合には、差止め請求などの対象になる可能性があります。また、2017年の4月1日から、景品表示法違反の対象商品、サービスには、その売り上げの3%を支払わなければならない課徴金制度が施行されました。(※課徴金の額が150万円未満の場合には、課徴金免除)有名大手企業なども、「景品表示法違反だ」と指摘されて問題になることも多くなってきています。また、課徴金制度にとどまらず、今後どんどんと規制が厳しくなっていくことが予想されますので、これからネットショップやECサイト、ネット通販を立ち上げようという方は特に気にしなければならない法律と言えるでしょう。

「不当な表示」には主に次の3種類があります。ネット販売業者は商品の販売ページや商品のパッケージ、広告、電子メールなどでこれらの表示を行わないように努めなければなりません。

表2、不当表示の種類と概要

優良誤認表示 商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示。裏付けとなる合理的な根拠がなく、実際のものよりも著しく優良である、競合他社よりも優良であると示す表示を優良誤認表示といいます。

優良誤認表示の例

  • 食品のブランド表示の偽装
  • アクセサリーの原材料の虚偽表示
  • 予備校の合格実績広告(「合格実績No1」など)
  • ダイエット商品の体験談やアンケートなど捏造した実証データの表示
有利誤認表示 商品・サービスの価格、その他の取引条件についての不当表示。商品やサービスの価格や取引条件が、実際のものよりも著しく有利である、実際よりも競合他社よりも有利であると消費者に誤認される表示を有利誤認表示といいます。

有利誤認表示の例

  • 外貨定期預金の受取利息
  • 運送業者の割引運賃
  • 酒類量販店の販売価格(「地域で1番安いお店」など)
  • 携帯電話通信業者の料金
その他誤認されるおそれのある表示 一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示。優良誤認、有利誤認以外などでも、まぎらわしく、消費者にとって正しい判別が難しい表示を規制しています。

その他誤認されるおそれのある表示の例

  • 無果汁の清涼飲料水など
  • 商品の原産国
  • 消費者与信の融資費用
  • おとり広告
  • 有料老人ホーム

【参考・引用元:消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」より 参考URL

また「過大な景品類の提供」については、次のような「景品類」について規制が設けられています。

ネット通販などで顧客を誘引する手段として、取引に付随して消費者に提供する「景品」や「おまけ」などをつける場合には、次のように提供する景品類の最高額や総額などの規制をしっかりと守らなければなりません。

表3、「景品類」についての規制

一般懸賞 商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣性によって景品類を提供することです。
共同懸賞 一定の地域や業界の事業者が共同して景品類を提供することです。
総付景品 懸賞によらず、商品・サービスを買ったり、来店したりした人にもれなく提供される景品類のことです。
オープン懸賞(参考) 商品・サービスを買ったり、利用したりすることなく、誰でも応募できる懸賞のことです。

【参考・引用元:消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」より 参考URL

取扱い商品によって守るべき法律

全てのネットショップ、ECサイト、ネット通販事業者が守らなければならない5つの法律以外にも、取扱う商品やサービスによって守る必要のある法律があります。

主に次のような商品を取扱う場合には、法律に定められた規制を守る必要があるので注意しましょう。

表4、取扱い商品やサービスによって守るべき法律

中古品の買取、販売 古物営業法
食品・飲料の販売 食品衛生法
健康食品の販売 食品衛生法
医薬品医療機器等法(健康食品の種類による)
薬機法(※旧薬事法)(広告の宣伝表示など)
酒類の販売 酒税法
医薬品の販売 医薬品医療機器等法
薬機法(※旧薬事法)
化粧品の製造・販売 医薬品医療機器等法
薬機法(※旧薬事法)
家庭用品の製造・販売 家庭用品品質表示法
ペット販売(犬・猫、爬虫類などを含む) 改正動物愛護管理法
西村先生
ではそれぞれの法律についてより詳しく解説していきましょう。

古物営業法

古物営業法は、取引された古物の中に窃盗品等がまぎれ込んでしまうことの防止や、窃盗品の取引の防止、また窃盗品の早期発見によって犯罪を迅速に解決し、被害を最小限に止めることを目的とした法律です。

そのため、ネットで中古品の買取を行い、それをネット販売するためには古物営業法に定められた「古物商の許可」が必要です。

古物商許可証の手続きはネット通販の所在地を管轄する警察署にて行うことができます。

ネットオークションで一時的に自分の使った中古品を販売するのであればこの資格は必要ありませんが、事業として古物を販売して継続的な利益を得る場合にはこの「古物商の許可」が必要になります。

製造物責任法(PL法)

製造物責任法(PL法)は「製品の欠陥に対して製造元は責任を取らなければならない」という法律です。

製品の欠陥により消費者が損害を被ってしまった場合、消費者が「製品の欠陥」を証明すれば、損害賠償等を求めることができます。

また、製造物責任法は次の3者を対象としているため、ネット通販であれば、海外からの輸入品を扱っている場合や、仕入れた商品を自社で加工を行う場合自社ブランド製品を開発して販売している場合(OEM商品を含む)には、この法律の対象となる可能性がありますので、十分注意しましょう。

  • 製造・加工・輸入業者
  • 表示製造業者・・・商品に氏名や商号、商標その他の表示、または製造者であると誤認させるような氏名などの表示をした者
  • 実質的製造業者・・・事情から考慮して実質的な製造者であると認めることができる者

食品衛生法

食品衛生法はその名の通り「食品の安全性を保つための法律」です。主に食品や、添加物、または口に含む食器など器具容器類の規格・表示・検査などの原則を定めています。

次のような食品の製造販売や、加工物については「食品衛生法に基づく営業許可」と「食品衛生責任者」の免許が必要です。

「食品衛生法に基づく営業許可」と「食品衛生責任者」の免許が必要な場合

  • 手作り食品の製造販売
  • 手作り漬物の製造販売(地域によって許認可が必要な場合とそうでない場合がある)
  • 魚介類(生、干物、燻製)の製造販売
  • 乳製品の製造販売
  • 肉類の製造販売
  • 仕入れた後に手を加えた加工物(料理、お菓子、冷凍食品、缶詰など)の製造販売
  • 仕入れた後に商品を小分けにしたりパッケージしなおした食品の販売

業者が加工したお菓子や缶詰、冷凍物や自分で栽培した果物、ペット用の食品などは特に許認可をとる必要がなく販売することができます。

食品によっては鮮魚などのように、加工や製造を行わない場合であっても許認可が必要な場合がありますので、自社のネットショップやECサイト、ネット通販で食品を取扱う場合には、念のため一度保健所に相談すると良いでしょう。

薬機法(※旧薬事法)

薬機法(※旧薬事法)とは、「医薬品」や「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」などの安全性や有効性を確保するための法律です。

「健康食品」は食品であるため、基本的には薬機法(※旧薬事法)の対象とはなりませんが、効果効能(「〜が治る」など)を医薬品でもないのにも関わらず宣伝するのは薬事法違反になるので気をつけましょう。

例えば、ネットショップやECサイト、ネット通販などで販売されることの多いサプリメントなどで医薬品的な効果や効能を謳い広告を行なった場合には、刑事罰の対象になってしまいます。(※2年以下の懲役など)また、逮捕される可能性もあるので、ネットショップやECサイト、ネット通販を行うのであれば、薬機法の遵守はマストです。

ネット通販においてこれらの商品を取扱う場合には、この薬事法を遵守しなければなりません。

ネットショップ、ECサイト、ネット通販で医薬品を取扱う場合

2016年6月12日より、次表のような一般用医薬品のネット販売が許可されました。

しかし、第一類医薬品は薬剤師でなければ販売することができません。また、第二類医薬品はネット通販で取扱うことは可能ですが、薬剤師の資格を持ったスタッフが必要です。

この点はまず注意しなければなりません。

表5、一般用医薬品の販売条件について

【※参考元:厚生労働省「一般医薬品のインターネット販売について」より 参考URL

※処方箋がないと処方できない医療用医薬品や、医療用医薬品から一般用医薬品になって間もない要指導医薬品に関しては3年の安全調査の後、安全性が確認された上で一般用医薬品に分類され、ネット販売が可能となります。

ネットショップ、ECサイト、ネット通販で化粧品を取扱う場合

化粧品を自身のネットショップ、ECサイト、ネット通販で販売するためには、まず「化粧品製造販売業許可」を、化粧品を製造する場合には「化粧品製造業許可」が必要となります。

また、化粧品の中でも「薬用化粧品」は化粧品ではなく「医薬部外品」になりますので、「医薬部外品製造販売許可」か、輸入した化粧品の販売には「化粧品輸入届出」が必要になりますので、まずはそこをしっかりと確認しておきましょう。

また、化粧品は健康食品と同様に、効果効能(「〜が治る」など)を広告などで記載することができません。化粧品をネット通販で取扱う場合には広告表現やパッケージなどに注意しておく必要があります。

例えば、OEMでオリジナル化粧品を作った場合、広告表現やパッケージなどで薬機法(※旧薬事法)に違反する記載があった場合には、せっかく作った製品を販売することができなくなってしまいます。

仕入れ販売を行う場合、もしくはオリジナル化粧品を製造し取扱う場合には、パッケージや広告表現について注意するようにしましょう。

家庭用品品質表示法

家庭用品品質表示法とは、さまざまな家庭用品のわかりやすい品質表示を義務付ける法律で、昭和37年に制定されました。

例えば特殊な原材料を使用している衣類などの中には洗濯方法が限られている場合があります。消費者がこれを知らずに洗濯をしてしまうと、衣類が痛んだり、色落ちをしたり、損害を被ってしまう可能性があります。

家庭用品品質表示法はさまざまな家庭用品の取扱時に発生する恐れのある消費者の損害を予防し、消費者を守る目的で作られた法律です。

主に次のような品目が家庭用品品質表示法の対象になっています。

表6、家庭用品質表示法の対象品目

繊維製品 糸、織物、ニット生地、レース生地、コート、セーター、水着、羽織及び着物、マフラー、毛布、テーブル掛け、カーテンなど合計38品目
合成樹脂加工品 台所等容器等、皿等、まな板、製氷用器具など合計8品目
電気機械器具 エアコン、電気毛布、電子レンジ、電気ポット、電気冷蔵庫、換気扇、電気かみそりなど、合計17品目
雑貨工業品 ティッシュペーパー及びトイレットペーパー、塗料、サングラス、合成ゴム製器具、魔法瓶、鍋など合計36品目

【参考元:消費者庁「家庭用品品質表示法とは?」より 参考URL

酒税法

お酒類をネットショップ、ECサイト、ネット通販で取扱う場合には、酒税法に基づき「通信販売酒類小売業免許」が必要になります。

また、もしネット通販で販売所のある都道府県内だけの消費者を対象とする場合には、合わせて「一般酒類小売業免許」が必要になります。

また販売できるお酒の種類はアルコール度数が1%以上であり、品目ごとの課税移出量が、すべて3,000キロリットル未満の製造者の製造・販売する国産酒類・輸入種のみとなっています。

さらに、お酒のネット販売を行うサイトにも次のような対応をしておかなければなりません。

  • 「未成年者への販売はしない」という文言を必ず注文画面に入れる
  • 注文時に年齢確認をする必要があるため、注文時の入力項目として生年月日や年齢を追加する

改正動物愛護管理法

ペットをネットショップ、ECサイト、ネット通販で取扱いたいと思った場合、「動物取扱責任者」の資格が必要になります。

また、基本的に犬や猫、爬虫類などは改正動物愛護管理法によりネット通販では取扱不可となったため注意しましょう。

熱帯魚やカブトムシといった昆虫などは特に資格がなくてもネット通販で取扱うことができます。

ただし輸入を行う場合には、すべての動植物に関して検疫が義務付けられているので注意しましょう。

まとめ

通販ライターあいけん
ネット通販は手軽に開業できる反面、守らなければならない法律がたくさんあるんですね。
西村先生
そうなんです。特にネットショップ、ECサイト、ネット通販では健康食品や、医薬品、化粧品といったものを取扱う場合が非常に多いので薬機法(※旧薬事法)には特に気をつけなければなりません。また、近年大手ヘルスケアメディアの問題や、不当広告表示が増えている影響で、薬機法(※旧薬事法)への世間の関心は非常に強くなっていますからね。
通販ライターあいけん
でも、この法律はあくまで「消費者と事業者共に、公正な取引を行うこと」「消費者の保護」「事業者の権利の保護」という3つの原則に基づいて改正が繰り返されている訳ですよね?
西村先生
その通りです。この原則に基づいてしっかりとネット通販を構築していけば、誰でもネット通販を開業することができます。要は消費者を騙したり、せこいことをする業者がいるからこのような法律が必要な訳で、しっかり消費者にとって良いものを良い形で提供できるネット通販をすれば問題ないということです。
通販ライターあいけん
要は汚い商売をするなってことですね。
西村先生
そういうことです!やるなら正攻法で!
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西村 公児

西村 公児

東証一部上場企業、年商600億円の大手通信販売会社で販売企画から債権回収まで通販実務を16年経験。その後、化粧品メーカーの中核メンバーとして5年マーケティングに参画。

年商253億円のニュージーランドのシンボルフルーツ企業の販促支援でレスポンス率を2倍にアップ。

講演会や主宰する10億通販塾の経営者、延べ300名以上に「ダイレクト通販マーケティング理論」及び、「LTVベルトコンベア理論」を提唱し、『熟練技術者による技能継承訓練』の認定研修講師として活躍。

更に、国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演、東洋経済オンラインに記事連載。

また、著書にはベストセラーとなった、伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)、【小さな会社】 ネット通販 億超えのルール(すばる舎)がある。

現在、多摩大学 経営情報学部の非常勤講師として「ビッグデータの活用法」について学生に教える。

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