ネット通販の開業をするためには何が必要?具体的な手順は?
今は、誰でも簡単にネットを通じてモノを販売できる時代です。
誰でもネット通販を開業し、簡単にビジネスを始めることができてしまいます。
例えば、安く仕入れた商品をでAmazonなどに出店し販売し利益がでれば、それは立派なネット通販ビジネスの開業になります。
また、最近では手作りのアクセサリーなどハンドメイド商品をCreema(クリーマ)やMinne(ミンネ)といったハンドメイドマーケットプレイスに出店し、簡単に販売することができるようになりました。
これもまた立派なネット通販ビジネスです。
また、自前のネット通販サイトを構築して立ち上げて運営している方や、会社の事業の一つとしてネット通販事業を行なっている方も多いと思います。
このように、ネット通販を開業する事が簡単な反面、ネット上には多くのネット通販事業者が軒を連ねており、「ただネット通販の開業をしても全く売れない」というのが現状です。
ネット通販の開業をするからには、ちゃんと売上をあげたいという方がほとんどだと思います。
また、中には将来的に年商1,000万円、1億円、10億円と発展させたり、オリジナルブランドを立ち上げたりしていきたいという方も多いと思います。
では、売れるネット通販の開業をするためにはどうすれば良いのでしょうか?
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売れるネット通販と売れないネット通販の違い
売れるネット通販と売れないネット通販には決定的な違いがあります。
その違いを一口で言い表すと一貫性です。
今までは販売者が誰であれ、商品が他よりも高性能、高品質であったり、特有の成分が含まれていたり、低価格であることで差別化が簡単に図れ、モノが売れる時代でした。
しかし、今はモノが周りに溢れており、商品の性能や成分、価格では差別化が難しくなり、例えば高性能、高品質、低価格であってもそう簡単にモノが売れない時代です。
そのため、今現在ネット上でモノを売るためには「何を売るのか?」だけではなく、「誰が売るのか?」も重要なのです。
今売れているネット通販などを見ると、どのネット通販も共通して「誰が売るのか?」がしっかりと紹介されており、「なぜこの商品を売るのか?」と商品との一貫性をしっかりとって販売を行なっています。
「何を売るのか?」と「誰が売るのか?」の一貫性をしっかりと取っておかないと、お客さん側から見れば「利益目的でやってるんじゃないか」と胡散臭く見られてしまい、商品が売れません。
それよりも、「私はいままでこういう経験をしてきた、だからこそこういう想いを持って商品を販売しているんだ」と一貫性をしっかりと取った方がお客様は「なるほどね!」と共感してモノを購入してくれやすくなります。
「ネット通販の開業をするならまず商品がなければ!!」と考える方が多いと思いますが、商品から作ってはいけません!
まずは商品を作る前にお客様に「あーなるほどね!」と思わせる一貫性を作ることが大切なのです。
売れるネット通販の開業をするための具体的な手順
- 手順1:どのネット通販のビジネスモデルで行うかを決める
- 手順2:どんなタイプのネット通販を行うかを決める
- 手順3:売れるネット通販の全体設計図を作り上げる
- 手順4:ドライテスト(テスト販売)で実際に商品を販売してみる
- 手順5:ネット通販サイトの構築
- 手順6:ネット通販サイトを広告・宣伝する
- 手順7:リピート率を上げるためのアフターフォロー戦略を実施する
手順1:どのネット通販のビジネスモデルで行うかを決める
ネット通販と一口に言っても様々なビジネスモデルが存在します。
例えば、主なビジネスモデルは次の3種類です。
- 総合通販:AmazonやNissenなど様々なジャンルの商品を販売するビジネスモデル
- 単品リピート通販:1つの商品をリピートして購入してもらうビジネスモデル
- 物販系通販:せどりや転売、越境系など仕入れ転売スタイルのビジネスモデル
このビジネスモデルの中から、まずはビジネスモデルを選ぶことから始めます。
手順2:どんなタイプのネット通販の開業を行うかを決める
ビジネスモデルが決まれば、次に自分が開業するネット通販のタイプを決めていきます。
ネット通販のタイプは、オリジナル商品を開発制作して販売する場合と、仕入れた商品を販売する場合の2パターンがあります。
この2つの中からどちらかを選んでいきましょう。
手順3:売れるネット通販の全体設計図を作り上げる
ネット通販のビジネスモデル、そして販売する商品のタイプが決まったら、いよいよ自分の開業するネット通販の全体設計図作りに着手していきます。
取り扱う商品によって必要な資格や届出、許認可手続きがある
ネット通販の開業を行なったからといって、何でも自由にネットで販売して良い訳ではありません。
取り扱う商品によっては資格や届出、許認可手続きが必要なものもあります。
例えば次のような商品の販売には専門の資格が必要になります。
- 中古品:古物商許可
- 食品:食品衛生責任者の免許(※必要でない場合もある)
- 酒類:一般酒類小売業の免許、通信販売酒類小売業免許(※必要でない場合もある)
- 第二類医薬品:薬剤師の免許
- ペット:動物取扱責任者
また、次のような商品の販売には許認可や届出といった手続きが必要になります。
- 食品(国内製品)の製造・販売:食品衛生法に基づく営業許可・届出
- 健康食品:食品衛生法に基づく営業許可、医薬品医療機器等法に基づく許可(※販売する健康食品の種類による)
- 医薬品:薬局開設許可、店舗販売業許可、医療品販売許可、特定販売届出
- 化粧品:化粧品製造販売許可(※海外から輸入した商品を販売する場合)、化粧品輸入届出(※海外から輸入した商品を販売する場合)、医薬部外品製造販売許可(※「薬用化粧品」を販売する場合)
- 輸入品:食品等輸入届出、検疫手続き、化粧品:化粧品輸入届出、動物:動物の輸入届出、検疫手続き(※動植物に関しては輸入が禁止されているもの多数)、植物:検疫手続き(※動植物に関しては輸入が禁止されているもの多数)
- コンタクトレンズなどの医療機器:「高度管理医療機器」や「特定保守管理医療機器」の販売許可
- 花火など:火を扱う商品取り扱いに関する届出
全体設計図の中で販売する商品のジャンルやコンセプトなども決めていくので、取り扱う商品のジャンルや種類によって必要な資格や許認可、届出手続きについて把握しておきましょう。
取り扱う商品によって守るべき法律をチェックしておこう!
ネット通販はれっきとした事業なので、個人でネット通販の開業をする場合にも守らなければならない法律が存在します。
例えば次のような法律はネット通販の開業をしたら、すべての事業者が守らなければならない法律です。
- 特定商取引法
- 知的財産に関する法律
- 個人情報保護法
- 電子契約法
- 景品表示法
また、取り扱う商品によっても次のような法律を守る必要があります。
- 古物営業法
- 製造物責任法(PL法)
- 食品衛生法
- 薬機法(旧薬事法)
- 家庭用品品質表示法
- 酒税法
- 改正動物愛護管理表
個人で小規模で転売を行う場合であっても、こういった最低限の法律は抑えておく必要があります。
手順4:ドライテスト(テスト販売)で実際に商品を販売してみる
全体設計図が完成したら、いよいよ具体的にネット通販サイトでの販売に繋げていきます。
しかし、実際に販売する前に1つやっておくべき事があります。
それがドライテスト(テスト販売)です。
具体的には、手順3までで作った全体設計図を元に、「本当に一貫性のある全体設計図ができているのかどうか?」を確認し、売れることを確認します。
- 条件1:MR(メディアレーション)=0.8以上(※MR=売上金額 ÷ 広告費)
- 条件2:クリック率が1〜3%
- 条件3:アクセス数が800以上
- 条件4:クリックヒートマップがTOPで80%以上、ENDで20〜25%以上
広告に出す時に必要な「特定商取引法に基づく表記」
ドライテストを行うにあたり簡単なネット通販サイトを作りますが、商品ページだけではなく、「特定商取引法に基づく表記」というページを最低限作る必要があります。
そうしないとネット広告を出すことができません。
作り方は次の記事に詳しく書いてありますので、それを元に作成してみましょう。
広告に出す際に薬機法や景品表示法について確認しておこう!
簡単に言えば、次のような事がサイト内で行われていないかどうか、などをネット広告を出す際にチェックされてしまいます。
- 薬機法(旧薬事法):根拠のない効果効能などを謳っていないかどうか?
- 景品表示法:誇大広告がされていないかどうか?
そのため、ドライテスト用のサイトを作ったら、この2つに関しては最低限確認しておきましょう。
具体的にチェックするポイントは次の記事にて詳しく解説してありますので、合わせて確認してみましょう。
手順5:ネット通販サイトの構築
ドライテストで基準をクリアしたら、実際に商品を販売するネット通販サイト作りに着手していきます。
一口にネット通販サイトを作ると言っても、予算や商品点数、規模などによって作り方は様々です。
次の参考記事で詳しく解説していますが、個人や小さい会社であれば、低価格で使えるショッピングカートASPを使ってサイト構築をするのが良いと言えます。
また、サイトの文章や画像の作り方によっても商品の売れ行きは大きく左右されますので、ここはしっかりと検討しておきましょう。
必要な作業1:ネット通販サイトのドメインを取得する
ネット通販サイトを作るためには、ドメインと呼ばれるサイトのURLを取得しなければなりません。
例えばこのサイトであれば、「通販コンサル.jp」というのがサイトのURLになります。
ドメインを取得できるサイトは「ドメイン取得」と検索すればたくさん出てきますが、一番有名なのが次の「お名前.com」です。
【画像引用元:お名前.com】
ここで、自分の開業するネット通販サイトに適切なドメインを購入します。
必要な作業2:ショッピングカートシステムを選ぶ
先ほど個人や小さな会社で小規模なネット通販サイトの開業をするのであれば、低価格で使えるショッピングカートASPがおすすめだとご紹介しました。
ショッピングカートASPとは、いわゆるAmazonなどネット通販サイトで商品を購入する際に行う「カートに入れる」「決済方法を選ぶ」など、普通であれば開発に数十万円〜数百万円かかる決済システムがや顧客管理機能が備わったネット通販サイト作成サービスの事です。
いくつかの設定をするだけで、ある程度デザインのちゃんとしたネット通販サイトを簡単に作ることができます。
副業程度でネット通販の開業を行うのであれば、機能が制限されている無料のショッピングカートASPで十分ですが、今後しっかりとネット通販ビジネスを行なって売り上げをあげていきたいという場合には、機能が制限されていない有料のショッピングカートASPを使うのがおすすめです。
ネット上には様々な無料・有料のショッピングカートASPがありますので、その中から自分に最適なショッピングカートシステムを選びましょう。
【画像引用元:リピスト】
必要な作業3:レンタルサーバーを契約する
ネット通販サイトはドメインだけでは開設することができません。
家で例えるとわかりやすいのですが、家を建てる際、まずは家を建てる区画(土地)を購入します。
この区画(土地)にあたるのが、ネットで言うサーバーです。
サイトを作る区画という風に考えてください。
その後そこに家を建てます。
この家にあたるのが、ネットで言うサイトです。
ドメインは家の住所になります。
サーバーとドメインとサイト、この3つが揃って初めてサイトをWeb上に構築することができるのです。
そのため、ネット通販サイトを構築するためには、サイトを作る区画であるサーバーをレンタルする必要があります。(※ショッピングカートASPはサーバーが付いてくるものがほとんどなので、その場合にはレンタルサーバーを予約する必要はありません。自分でネット通販サイトを1から作る場合にはレンタルサーバーの契約が必要です。)
必要な作業4:対応する決済方法を決める
ネット通販の開業を行う場合には、お客さんの決済方法について検討する必要があります。
ショッピングカートASPの場合は、自動で様々な決済方法がサービスとして付いているので問題ありませんが、もし独自でネット通販サイトを立ち上げる場合には、お客さんが商品を購入する際の決済方法について考える必要があります。
実は決済方法はネット通販サイトでお客さんがモノを購入する際のハードルとなりますので、次の決済方法は対応しておく必要があります。
- クレジットカード決済
- 代金引換
- コンビニ支払い
- 銀行振込
- 郵便振替
詳しくは次の記事にて解説してありますので、合わせてご覧ください。
必要な作業5:商品の発送方法を決める
ネット通販の開業を行うには、商品をお客様にどのようにお届けするのか、発送方法を決める必要があります。
発送方法としては、自分で発送する方法と専門業者に委託する方法の2種類が存在します。
商品販売数が少なければ専門業者に自分で発送しても良いですが、作業量や発送費用などを考えると専門業者に委託した方が安く済む事が多いです。
規模にもよりますが、ネット通販サイトの商品発送は基本的に専門業者に委託するのがおすすめです。
世の中には色々な発送代行サービスがありますので、その中から費用間やプランなどを比較して最適なサービスを選びましょう。
必要な作業6:商品ページの作成
ネット通販サイトの構築において一番力をいれるべきなのが、商品販売ページです。
実際にこのページの文章や画像の良し悪しによって売り上げが大きく変わるので、しっかり時間をかけてページを作成していきましょう。
手順6:ネット通販サイトを広告・宣伝する
ネット通販サイトが構築できたら、いよいよそれを広告にかけ、多くのお客さんにアプローチをしていきます。
ネット通販は普通の店舗や会社と違って道を歩いている時に偶然お客さんの目にとまったり、営業マンが飛び込みでやってくる訳ではありません。
そのため、ネット通販サイトの開業を行なった段階では、お客さんへの認知度は0ですし、何も宣伝をしなければそれが増えることもありません。
そのため、より多くの見込み客に認知してもらうためにはネット通販の開業後に積極的に広告宣伝を行なっていく必要があります。
広告宣伝の方法はネット通販サイトの場合、ネット広告がメインですが、方法はそれだけではありません。
一体どれくらいの予算で、どのような方法で、広告宣伝を行なっていけば良いかを検討しましょう。
次の記事にて詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
広告以外の集客方法についても実践しよう
広告宣伝以外にも、ネット通販サイトに見込み客を集める方法はいくつかあります。
予算を設けて広告を打つ方法は、短期的に見込み客を集めることができる「短期目線の集客方法」です。
一方で、お金をかけずに地道にサイト内やSNSなどで情報発信などをしていくことで、長期的に見込み客を増やしていくのが「長期目線の集客方法」です。
短期目線、長期目線共に次のような方法があります。
短期目線の集客方法のメリットは素早く見込み客を得られることですが、広告費がなくなるとその効果は一気に0になってしまいます。
一方で長期目線の集客方法のメリットはちゃんと地道に長期間行なっていれば、費用をかけずとも長い期間集客を自動的にし続けられると言う点です。
そのため、ネット通販の開業後長期的にネット通販ビジネスを成長させていくためには、短期目線の集客方法を使って見込み客を集めながら、地道に長期目線の集客方法を行うことが必須です。
どうしても短期目線の広告に頼りがちなのですが、商品の売れ方には波や流行り廃りがあるので、売れなくなった時には広告費用をかけられなくなり、売り上げが一気に落ちます。
また売り上げが落ちると広告費用に回せるお金もすくなくなり、といった具合に螺旋階段のように経営が一気に傾いてしまいます。
上記方法をすべて行うのは無理がありますが、そういった事がないようにネット通販開業後から、うまく短期目線の集客方法と長期目線の集客方法を組み合わせて行なっていくのがベストです。
集客方法について次の記事にも詳しく解説してありますので、合わせてご覧ください。
手順7:リピート率を上げるためのアフターフォロー戦略を実施する
ネット通販ビジネスの開業経験のある人であればお分かりいただけると思いますが、ネット通販ビジネスは集客の悩みが尽きません。
その主な原因は、やはり手順6で説明したように、ネット通販の開業後に集客を広告のみに頼っている事業者が非常に多いためです。
売れるネット通販の開業は全体設計図によってすべて決まる!
本記事ではネット通販の開業をするために必要な全手順について解説してきましたが、売れるネット通販の開業ができるかどうかは、先ほどもご紹介した通り全体設計図がいかに作り込めているかにかかっています。
ネット通販の開業後、すぐに「早く売りたい」と思ってしまう気持ちは分かりますが、目先の利益を追っていると知らず知らずの内に失敗しているという事がほとんどです。
- これからネット通販の開業を考えている
- ネット通販ビジネスの集客に悩んでいる
そんな方はまずは全体設計図の検討、もしくは洗い出しからしっかり行なってみてください。