ネット通販のリピート率を上げるためのアフターフォロー戦略
Contents
ネット通販のリピート率が上がらない最大の理由とは?
お客様がリピートを行わないということは、それだけ「もう一回買いたい」とお客様に思われていない、つまり、商品の価値(お客様がその商品を購入することで得られる将来像)がお客様にそれだけ伝わっていないということです。
ネット通販のリピート率が上がらない最大の理由は、この商品の価値を1回目の購入から、2回目の購入までの間にお客様に伝えきれていないことにあります。
ただ、一般的な通販ノウハウとして紹介されているダイレクトメール(DM)を送ったり、毎日メールマガジンを配信しているだけでは、この商品の価値をお客様に伝えきることができていないということです。
アフターフォロー戦略設計に必要な2つのポイント
ネット通販のリピート率を上げるためには、1回目の購入から、2回目の購入までにいかに商品の価値をお客様に伝える仕組みを設計することが重要であると先程ご紹介しました。
ここの設計が特に重要なのは「1回目と2回目の離脱率が一番多いから」という理由と、もう一つ違う理由があるからです。それは「人間は忘れる生き物であるから」という理由です。
人間の脳の特性を表した有名な曲線があります。
それが「エビングハウスの忘却曲線」です。
これは、ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスによって行われた実験の結果として得られた「人間の記憶がどれくらいのスピードで忘れられていくか?」を示した曲線です。
この曲線が示すとおり、人は時間の経過とともに皆さんの商品やサービスを忘れてしまいます。
およそ1ヶ月後には79%ものことを忘れてしまうのです。こういった人間の脳の特性も考えた上でアフターフォロー戦略を考えていく必要があります。
そのため、1回目の購入から2回目の購入までに、商品の価値をどのような方法で、どれくらいの頻度で伝えていかなければならないかをアフターフォロー戦略として設計していく必要があります。
では具体的にどのような方法をどれくらいの頻度で伝えていけばよいのでしょうか。
リピート率を上げるために最適なお客様へのアプローチ頻度とは?
結論から言えば、エビングハウスの忘却曲線で示されたとおり、人間は時間の経過とともに皆さんの商品やサービスを忘れていきます。
そのため、初回購入から1ヶ月以内に手厚い顧客フォローを行い、お客様とコミュニケーションを取り、商品やサービスをしっかりと認知してもらうことが大切です。
また、お客様フォローを手厚く行うことによって、お客様の悩みにより寄り添うことができるためお客様の商品やサービス、ネット通販会社に対する信頼度も増します。
こういった手厚いフォローをしっかりと行う様に最初から設計しておくことがリピート率の向上につながってくるのです。
具体的な頻度としては、1回目の購入日から1ヶ月以内に3回の顧客接点を作り、2回違うオファーでお客様にアプローチすることを1セットとして、それを3ヶ月間継続するのが最適なアプローチ頻度だと言えます。
商品価値をお客様に伝えるためのアプローチ方法
商品価値をお客様に伝えるためのアプローチ方法は次のように、実にさまざまです。
- ダイレクトメール(DM)
- 企業サイト
- 販促メール
- ステップメール
- コールセンター
- ランディングページ
- 季刊誌
- 商品同梱ツール
- FAX(DM )
- LINE
- 小冊子
- カタログ
また、ずっと「メールでフォローをし続ける」など同じアプローチ方法を多用しないことがここでは重要になってきます。
最低6つの違った方法を選びお客様にアプローチしていきます。
この顧客接点によって次のお客様がリピート購入しない4つの阻害要因排除していく必要があります。
- 効果・効能の壁
- 信頼・安全・安心の壁
- 価格の壁
- 機会(チャンス)の壁
お客様のこれらの壁を排除することができて初めて2回目の購入へとつながります。
では、それぞれどのような壁なのか、またどのようにそれらの壁を排除していくべきなのかを詳しく解説していきます。
効果・効能の壁
効果の壁とは、お客様が初回購入によって実際に使用し、満足のいく効果が体感レベルで感じられるかどうかを指します。
効果が全く感じられない場合などは、その時点でリピート購入への可能性がほとんどなくなると言って良いでしょう。
しかし、効果はすぐに感じられるものではありません。
そのため、この壁を排除するためには、商品開発時にモニター・アンケートを実施し、実際の使用感や効果効能を確認し、その結果や商品を使い始めてからの経過日数と、目安の改善度合いを写真付きで紹介したり、商品を使い続けた先の将来像を紹介するなどのアプローチが必要になります。
信頼・安全・安心の壁
信頼・安全・安心の壁とは、お客様が商品やネット通販会社に感じる信用や信頼感です。
例えば同じ薬を誰なのかよく分からない人と、医者、どちらから買いたいと感じますか?
おそらく大多数の方が医者と答えると思います。
このように、人は無意識のうちに「騙されたくない」という思いからこの信頼・安心の壁を常に持っているものです。
この信頼・安全・安心の壁を超えない限りは人は商品を購入しようとは思いません。
このお客様の持つ信頼・安全・安心の壁を超えるためには具体的に次のような施策が有効とされています。
- お客様の声
- その道の権威・専門家などによる推薦の声
- 売上実績
- その商品の歴史
- 有名人の推薦の声
- Facebookの「いいね!」数
- RSSの購読者数
- 会社の沿革
また、次のような4段構造で自分自身のストーリーを作り込むことで、信用・安心の壁を排除することも可能です。
- ピンチな状態
- 新しい目標・ビジョン
- 共通の敵 VS 今まで見えていない敵
- 必殺のキャッチフレーズ
わたし、通販事業立ち上げます。「あなた自身のストーリーを作成する」
本連載記事は、通販に魔法をかける専門家西村公児が、通販事業を立ち上げたいという個人事業主にコンサルティングを行い、ネット通販ビジネスの設計図を作り上げるまでを追ったドキュメンタリー記事です。
価格の壁
「価格の壁」とはお客様それぞれが持つ商品に対する価値観のことです。
この価値観は人それぞれ違います。
例えば、人によってはロレックスの時計が60万円で売られていて「当然だ!もっとしてもいいぐらいだ」と思う人もいれば「時計に60万円は高すぎる!そんなに払えるわけがない」と思う人もいるはずです。
また、もしこの世に一つしかない希少なロレックスであれば「なんとしても、いくら払ってでも手に入れたい」と思う方もこの地球上にはたくさんいらっしゃるでしょう。
このように、私たちは商品の価値を自分の中の感情で勝手に決めてしまっています。
そのため、1回目の購入をしたお客様に2回目の購入をしてもらうためには、その商品を使用した時に「こんな価格でこんなにいい商品が買えるなんて、最高だ」と思ってもらわなければなりません。
つまり、1回目の購入から2回目の購入までの間に、その方が持っている価値観を超える満足度を感じて貰わなければリピート購入につながらないという訳なのです。
そのため、先程ご紹介した1ヶ月に3回、3ヶ月間行う顧客へのアプローチによってこの壁を排除しなければなりません。
具体的な施策としては、返報性や希少性、権威、好意、一貫性、社会的証明といった項目をアプローチの方法の中に盛り込んでいくことが挙げられます。
また、相談窓口を設けて継続的にお客様の悩みに寄り添っていくこともお客様の価格の壁を排除する施策としては有効です。
機会(チャンス)の壁
お客様が商品を「欲しい」と感じるタイミングは人それぞれ違います。
例えば、お客様側が「欲しい」と感じていても、事業者側から適切なアプローチがなされていなければ、お客様が商品を買う機会を逸してしまうことになります。
その結果、他のアフィリエイトサイトなどから購入をしてしまい、無駄な広告費をかける結果となってしまった事例をよく目にします。
このような事態にならないようにするためにも、お客様に対してネット通販会社側は、常に適切なタイミングでお客様への購入機会を提供する必要があることを忘れてはいけません。
1回目から2回目の購入までの間に、このお客様が「欲しい」と思ったタイミングで適切なアプローチ、魅力的なオファーができるようにしなければ、リピート購入にはつながりません。
先程ご紹介した1ヶ月に3回、3ヶ月間行う顧客への適切なタイミングでのアプローチによってこの機会の壁を排除しなければなりません。
具体的には、オファーの中に限定性(例:15組限定!など)、リスク排除(例:90日間返品保証!など)、具体的なアクションを促す(例:〜日までに注文いただいた方限定の値引きサービスなど)などの内容を盛り込むことが有効です。
商品価値をお客様に伝えるためのアプローチ方法の設計例
ここまで1ヶ月間に3回を1セットとして3ヶ月間の顧客アプローチを行うことがリピート率の向上につながるということをご紹介してきました。
ダイレクトメール(DM)や企業サイト、販促メール、ステップメールなどのメールマガジン(メルマガ)、コールセンター、ランディングページ、季刊誌、商品同梱ツール、FAXDM、Facebook、LINE、小冊子、カタログなど、実に様々なアプローチ方法の中から、6種類を選び、実際に商品価値をお客様に伝えるためのアプローチ方法を設計した設計例が次の図になります。
ここで押さえておくべきポイントは、1回の顧客アプローチで、4つの阻害要因のうちどれか1つに絞って排除していくということです。
決してあれもこれも排除しようと思ってはいけません。
この設計図を例に、みなさんもリピート率をあげるための顧客アプローチ方法を実際に設計してみてください。
この設計こそが、1回目の購入から2回目の購入につなげるリピート率を80%以上確保できる全体設計のフレームとなります。