ネット通販・ECサイト・ネットショップを開業して成功する人と失敗する人の違い
Contents
ネット通販市場は右肩上がり
総務省統計局が毎年行なっている「家計消費状況調査結果」によれば、二人以上の世帯においてネット通販を利用した割合は年々増加。
2002年には全体の約5.3%程度しか利用していなかったのに対し、2015年は27.6%とおよそ4世帯に1世帯がネット通販を利用する世の中に変化してきました。
(出典:総務省統計局「家計消費状況調査結果」より)
また、同省が2015年におこなった「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」の結果によれば、ネット通販を利用する理由として次のような理由が多く挙っています。
- 実店舗にいかなくても買い物ができるから
- 24時間いつでも買い物ができるから 実店舗よりも安く買えるから
- 買いたいものが検索機能等ですぐに探し出すことができ、時間の節約になるから
- 自宅に持ち帰るのが大変な重いものが手軽に買えるから
実店舗に行く手間や労力、時間の節約、重いものが手軽に買えるなどが、ネット通販を利用する最大の魅力であることがこの結果からわかります。
また、同調査内の年代別ネットショッピングの利用率を見てみると、40〜60代の方が全体の中でも多く利用されていることがわかります。
(出典:総務省「平成27年度社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」より)
これらの結果から、年代が高くなればなるほど、疲れやすくなったり、体が思うように動かなくなったり、荷物の持ち運びがきつくなったり、買い物による身体的な負担が大きくなるため、それらを解消できるネット通販の利用が多くなったのではないかと推測できます。
経済産業省が行なった「平成28年度電子商取引に関する市場調査」結果によれば、国内の電子商取引の消費者向け市場規模は2016年の時点で15.1兆円となり、ネット通販市場は右肩上がりを続けています。
今後少子高齢化が加速するにつれて買い物の負担が大きくなる高齢者世代の数が増えることを考えると、今後もさらにネット通販市場は拡大していくことが予想されています。
(出典:経済産業省「平成28年電子商取引に関する市場調査」より)
ネット通販で開業して失敗する3つの考え方
実は、ネット通販事業に失敗する理由は次の3つの考え方が通販業界の一般的な常識となってしまっている事にあります。
- 大手通販会社のやり方を真似れば良い
- 集客が成功すれば、売上もあがる
- いい商品を売れば売上もあがる
それぞれどのビジネスでも当たり前の一般常識として語られている成功法則ばかりです。
一体なぜこれらがネット通販ビジネスが失敗してしまう考え方なのでしょうか?
【失敗する考え方1】大手通販会社のやり方を真似れば良い
例えばあなたが何か事業を始めた時に、まずやることは業界トップのビジネスのやり方、マーケティング手法などをベンチマークし、真似をすることだと思います。
なぜなら、業界で一番を目指すのであれば、業界で一番の企業の真似をしてしまうのが一番の近道だと一般的に言われているからです。
確かに、業界トップや大手企業のベンチマークはビジネスを成長させる上では大切なことですが、ネット通販ビジネスは違います。
業界トップの大手通販会社の真似をしては、年商が10億にも満たない小さな通販会社の商品は全く売れません。
なぜなら大手は今までに培ってきたブランド力だけで売上があがるからです。
極端な話をすると、大手通販会社は、企業名とロゴ、商品名、簡単な商品の説明、だけで「あっ、あのブランドが新しい商品を出した」と売れてしまいます。
その大手通販会社のやり方をまだブランド力もない、企業の名前も知られていない小さな通販会社が真似したとしても、社会的信用が全くないため売れないのです。
例えば自動車メーカー最大手のトヨタと全く同じ車を業界に参入したてで、まだ名前も知られていない新興自動車メーカーが作ったとしても、売れるわけがありません。
むしろ大手がやらないニッチなニーズに応えたマニアックな車を作った方が売れます。ネット通販業界も同じです。
小さな通販会社には小さな通販会社のやり方で戦う必要があるということなのです。
【失敗する考え方2】集客が成功すれば、売上もあがる
2つ目の失敗につながりやすい考え方として「集客=売上」と思ってしまっていることが挙げられます。
確かに1,000人中5人が買ってくれる商品を販売しているネット通販であれば、2,000人集客できれば10人が買ってくれ、5,000人集客できれば25人が買ってくれ、といった具合に売上も比例して上がってくるため、一見すると集客が成功すれば売上も上がると思ってしまいます。
しかし、ネット通販の場合、「集客=売上」だと思っているために、集客にばかり資金を投下してしまってはいつか頭打ちになってしまいます。
ここで大切なのが、ネット通販は「仕組みのビジネス」であるということです。
そのためレバレッジが利きます。
レバレッジとは小さな力で大きなものを動かすことです。
確かにリスティング広告やSEO、ブログの運営、SNSの活用など、人手と手間とお金をかければかけるだけ集客することができ、売上も上がってきます。
しかし、集客手法には流行りや廃りもあり、さらには広告からの集客が上手くいく時期と悪い時期があるという不安定さがあります。
そのため、例えばGoogleが検索のアルゴリズムを変更するだけでも、すぐに売上にその影響が出てきてしまします。
これをずっと続けていて上手くいくはずがありません。
必ずどこかで限界がきて、やがて失敗へと向かっていってしまいます。
つまり集客ばかりに力を入れ、ネット通販ビジネスのベースの部分である「仕組みの構築」ができていないために、失敗してしまうのです。
通販を開業する際にきちんとこの「仕組み」を構築しておくことで、ネット通販の一番のメリットであるレバレッジを利かせることができ、たとえWEB集客が悪くなったとしても安定してビジネスを成長させていくことができるのです。
【失敗する考え方3】いい商品を売れば売上もあがる
3つ目の失敗に繋がりやすい考え方が「通販ビジネスは商品で決まる」という考え方です。
一般的にはいい商品を売れば売上があがる、という考え方が一般的です。
他社が1の性能を持つ商品を作ったから、自社では2の性能を持つ商品をつくる、というのが世の中で主流の商品戦略です。
しかし、ネット通販ビジネスでは、ここが大きく違います。
例えば、大手通販会社がお湯を5時間60℃で保温できるマグカップを売っていたとします。
そこにまだ立ち上がったばかりの無名の通販会社が10時間60℃で保温できるマグカップを投入したとします。
性能だけでみれば5時間と10時間で圧倒的な差があります。しかし、ネット通販では商品の性能がいくらよくてもそればかりが売れるとは限らないのです。
テレビの通販番組で紹介されている商品を見てみると、それは必ずしも最新モデルであったり、性能がとびきり良い商品ばかりではないと思います。
では、なぜその商品が欲しくなり、つい購入してしまうのでしょうか。
ネット通販で開業して成功する3つの考え方
ここまでご紹介してきた通り、一般的な小売ビジネスと同じような戦略で経営していたのでは、ネット通販を開業して年商を1億、10億、100億と成長させていくことは厳しいと言えます。
そのため、この失敗につながる3つの考え方を、次のように変換させることが、通販ビジネスを成功させるために大切です。
- 大手通販会社のやり方を真似すれば良い→小さい通販会社のやり方で戦う
- 集客が成功すれば売上もあがる→集客よりもまずはネット通販の仕組みを構築する
- いい商品を売れば売上もあがる→商品ではなく人にフォーカスする
【成功する考え方1】小さい通販会社のやり方で戦う
ブランド力のない小さい通販会社が、ブランド力でものを売っている大手通販会社のやり方を真似ても上手くいかないことは先ほどご紹介いたしました。
では小さい通販会社のやり方とはどのようなやり方なのでしょうか。
それは「誰が言うのか?」「何を言うのか?」「どのように言うのか?」を大手に比べてしっかりと顧客に伝えていくというやり方です。
例えば大手のやり方で葉酸サプリを売るのであれば、企業名とロゴ、「業界No1の量!○○由来の葉酸○○mg配合」のような機能性表示で伝えていきます。
これを小さい通販会社のやり方で行うと、次の1〜5のステップに沿って「誰が言うのか?」「何を言うのか?」「どのように言うのか?」をしっかりと創り出し、それをストーリーにのせてお客様にしっかりと伝えていきます。
- UVPの構文を作成する
- レッドオーシャンから商品ジャンルと競合を決定する
- コンセプトを作成してキャッチフレーズ化に変換させる
- あなた自身のストーリーを作成する
- 売れる通販フォーマットを完成させる
ここではすべてを説明することはできませんが、このようなステップで大手とは違う切り口から同業他社が言っていない言い方で商品の価値を伝えるということが、小さい通販会社が成功するやり方であり、戦い方です。
【成功する考え方2】まずはネット通販の仕組みを構築する
「ネット通販は「仕組みのビジネス」なので、集客ばかりに力を入れているといつか限界がきて、失敗へと向かってしまうという。
だからこそまずはネット通販の仕組みを構築すべき」と先ほどご紹介しました。
では、どのような仕組みを作っていけば良いのでしょうか。それは下図のような商品のLTV(ライフタイムバリュー)や魅力的なオファー、定期的な同梱物などをどのような期間で出していくか、やどのような商品展開でリピートさせていくかなどです。
つまり、このベースをしっかり構築していくことで、今まで1,000人の内3人しかリピートのなかった商品をいかに、10人、20人リピートしてくれるようになります。また、それと合わせて集客数を増やしていくことで、倍々方式で売上にレバレッジが利くようになります。
このようなネット通販の構築をおろそかにして、集客だけに力を注いでいるのは、いわば穴が大きく空いたバケツに水を注ぎ続けているようなものです。
そうではなく、ネット通販の構築を行うことで、バケツの穴を小さくし、より注いだバケツがたまりやすくするという考え方が大切です。
【成功する考え方3】商品ではなく人にフォーカスする
いくら良い商品を売ったからといって、それが必ずしも売上があがることや通販ビジネスの成長には繋がらないということを先ほど失敗に繋がる考え方の部分でご紹介しました。
では商品ではなく人にフォーカスするとはどういうことなのでしょうか。これは、商品の性能や成分、機能ではなく、次の4つの質問に答えられるような商品コンセプトを作り上げるということです。
- えっ、それって何?
- えっ、なるほどね!
- 何であなたにそれを語る資格があるの?
- 一言で言うとどうすごいの?
例えばサプリメントをまずは商品にフォーカスして販売しようとすると「有効成分○○を何mg配合」「99.8%の方が効果を実感したサプリメント」といったコンセプトの商品になるでしょう。
しかしこのような成分や特徴だけで売っていては薬事法の関係上それ以上の売り方ができず売上の限界がきてしまいます。
しかし、人にフォーカスして次の4つの質問に答えられるコンセプトに変えたらどうでしょうか?
- えっ、それって何? → 心も体もスッキリサプリ
- えっ、なるほどね。 → 乳酸菌を毎日取っているはずなのに、お通じがこない。実は乳酸菌ではなくビフィズス菌の働きがお通じには重要だったのです。
- 何で語る資格があるの? → 毎日ヨーグルトで乳酸菌を取っていても治らなかった便秘が、ビフィズス菌をとることで一気にお通じがよくなった。
- 一言で言うと、どうすごいの? → いくら乳酸菌をとってもお通じがこない女性の便秘を解消し、心からスッキリできるサプリ
いかがでしょうか?これだけで随分魅力的な商品コンセプトに変わったと感じるでしょうか。
つまりお客様にその商品の特徴や性能を売るのではなく、お客様がその商品を使ってどうなるのか、お客様がその商品を使ったことにより将来得られるであろう価値を伝えることで、大手通販にはない魅力的な商品を作りあげることができるのです。
これが商品ではなく人にフォーカスした商品コンセプトを作るということであり、このような商品作りを心がけていくことが小さな通販会社が成功するためには大切になってきます。