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特定商取引法とは?ネット通販における注意しなければいけない5つのポイント

 2018/08/07 ネット通販
この記事は約 24 分で読めます。 993 Views
西村先生
ネット通販を開業するにあたって、気をつけなければならない法律のうちの1つに特定商取引法があります。あいけんさんは知っていますか?
通販ライターあいけん
特定商取引法って名前はよく知ってるんですが、具体的にどのような内容に気をつけるべきなのかはあまり知らないですね。
西村先生
2017年12月から改正特定商取引法が施行されて、「定期購入に関する規制」が加えられたことでネット通販業界は大きく揺れ動きました。このように特定商取引法はネット通販業界に大きな影響を与える法律です。改正された時に大きな影響を受けないようにしっかりと抑えるべきポイントを知っておきましょう!

特定商取引法とはどんな法律?

特定商取引法とは、簡単に言えば「消費者の利益を守る」法律です。

事業者と消費者のトラブルを未然に防ぎ、消費者を悪徳業者から守るために、特定商取引法は事業者の取引方法などについて規制をしています。

事業者と消費者の間でトラブルが起きやすい、次のような事業者が規制の対象になります。

  • 訪問販売
  • 電話勧誘販売
  • 連鎖販売取引(マルチ商法)
  • 特定継続的役務提供
  • 業務提供誘引販売取引
  • 通信販売(ネットショップ、ネット通販、ECサイトなど)

「通信販売」も特定商取引法の規制対象に入っているので、これからネットショップやECサイト、ネット通販などを開業するのであれば、この法律は必ず守らなければなりません。

西村先生
実は市区町村などが運営している「消費生活センター」に寄せられている相談件数のうち約26%を「インターネット通販」に関する相談が占めているのです。具体的には、ネット通販の相談件数が23万7,063件、店舗購入の相談件数が22万9,885件と店舗購入よりも相談件数が上回っています。
通販ライターあいけん
それほどネット通販における消費者と事業者のトラブルが多いというのが現状なんですね・・・。
西村先生
そうなんです。事業者が好き勝手にできないように事業者を規制し、消費者を守るのがこの特定商取引法の役割なんです。

特定商取引法でネット通販事業者が守るべき5つのポイントとは?

特定商取引法において、ネットショップやネット通販、ECサイトなどを運営している事業者に適用されるのが次の項目です。

・第11条:広告の表示
・第12条:誇大広告の禁止
・第12条の3、第12条の4:未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止
・第13条:前払式通信販売の承諾等の通知
・第14条:契約解除に伴う債務不履行の禁止
・第14条:顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止
・第14条、第15条:行政処分・罰則
・第15条の2:契約の申し込みの撤回または契約の解除
・第58条の19:事業者の行為の差止請求
特定商取引ガイド
西村先生
分かりやすく言えば、主に次の5つのポイントをしっかりと守っておく必要があるということです。
  • 「特定商取引法に基づく表記」を記載する
  • 事実に反することや根拠のないことを書かない
  • 消費者の承諾無しに電子メール広告やファクシミリ広告を送らない
  • 消費者の意に反して契約をさせようとしない
  • 定期購入の縛りがある場合には申し込み画面にはっきりとその旨を明示する(「平成28年改正特定商取引法」により施行)

※これだけではありません。事業内容や商品・サービスの形態によって他の項目が適用される場合があります。もし不安な方はお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。

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通販ライターあいけん
でも、特定商取引法で「守れ」と言われているのは、なんか消費者目線からすれば当然のような内容ですね。
西村先生
そうですね。しかし、通販事業者にとっては売って利益をあげないと潰れてしまうので、いかに特定商取引法を守りながら、積極的に商品の良さなどをお客さんに伝えていくのかにいつも頭を抱えているんです。
通販ライターあいけん
そうなんですね。だから、有名な通販会社であっても「業務改善命令が〜」とか言われたりするんですね。
西村先生
そうなんです。2017年に特定商取引法が大きく改正されて、今現在ネット通販事業者は「どうやって商品やサービスを売っていくべきか?」に悩んでいるのです。でも、まずは特定商取引法で守らなければならない基本的なポイントをしっかり抑えておきましょう。それを抑えた上で戦略を考えていくのがベストです。

ポイント1:「特定商取引法に基づく表記」を記載

特定商取引法では、通信販売(ネット通販、ネットショップ、ECサイトなど)事業者に対して、次の13項目を表示することを義務付けています。

・販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要)
・代金(対価)の支払い時期、方法
・商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
・商品(指定権利)の売買契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(返品の特約がある場合はその旨含む。)
・事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
・事業者が法人であって、電子情報処理組織を利用する方法により広告をする場合には、当該販売業者等
・代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名
・申込みの有効期限があるときには、その期限
・販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容およびその額
・商品に隠れた瑕疵がある場合に、販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
・いわゆるソフトウェアに関する取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境
・商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)があるときには、その内容
・請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料であるときには、その金額
・電子メールによる商業広告を送る場合には、事業者の電子メールアドレス
特定商取引法ガイド

ネット通販のHPなどを見ると、どこかに次のような「特定商取引法に基づく表示」というページがあると思います。

ネット通販を開業するのであれば、まずはこのページを「特定商取引法」に基づいてHP内に表示することが義務付けられています。

表示義務に違反してしまったがために「業務禁止命令」が出た事例もあるので、特に注意しましょう。

「特定商取引法に基づく表記」をどうやって書けば良いか?については次の記事で詳しく解説していますので、こちらの記事を参考にしてみてください。

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西村先生
「特定商取引法に基づく表記」だけで不十分な場合には、次のように分かりやすく記載してあげるとベストです。お客様としてもこういった明記があると安心してお申し込みができますよね。

通販ライターあいけん
確かに、こういった丁寧な明記があると、購入者側としても安心ですし、これがあるかないかで購入率につながってくるんじゃないですか?
西村先生
その通りです。「返品」などはあまり事業者としては受けたくないからできればそういった表示は小さくしたい・・・でも購入者としては「もし不良品だったらどうしよう・・・」など気になりますよね。特に商品を直に確認できないネット通販であればなおさらその不安は強いと言えます。お客様のそういった不安を取り除いてあげるという意味でも「特定商取引法に基づく表記」とは別に、お客様が不安になりそうなところは分かりやすく明記してあげるというのが購入率をあげるポイントです。また、長期目線で長く商品を販売し続けたいのであれば、こういった分かりやすい表示がマストです!

ポイント2:事実に反することや根拠のないことを書かない

事実に反することや、根拠のないことを書いて商品やサービスを実際のものよりよく見せたりする行為は「特定商取引法」の違反になります。

また、こういった行為は同時に「景品表示法」という法律の違反にもなる可能性があるので、HPの文章やPR画像などには十分注意しましょう。

景品表示法については次の記事で詳しく解説しておりますので、こちらも合わせてご覧ください!

続きを読む >

西村先生
特定商取引法と同時にネット通販をやっていく上で気をつけなければならない法律が「景品表示法」です。商品やサービスをよく見せようと思うあまりに、本当は入っていないのに「◉◉エキス配合」と表記したり、アンケートをとってもいないのに「利用者の94.3%が満足!」と書いたりすると、特定商取引法の違反になってしまう可能性がありますし、同時に景品表示法や薬機法(旧薬事法)など他の法律違反にもつながってしまう可能性があるので十分気をつけましょう。
通販ライターあいけん
結構大手の企業でもニュースなどで「景品表示法違反で〜」とよく報道されていますもんね。
西村先生
そうですね。どれが違反で、どこまでがOKなのかがネット通販事業者が頭を悩ませるポイントなんですね。簡単に言えば「事実ベースで書けばOK」なんですが、それではうまくお客様に響かなかったりするので、今私に相談に来られる通販事業者もこういったところで非常に悩んでいらっしゃる方が多いですね。
通販ライターあいけん
簡単に言えば「事実」を書けばいいだけの話ですよね?
西村先生
そうです。このポイントで抑えるべきは「事実であることや、エビデンス(根拠)のあることを書けば良い」というだけなんです。ただしやはり「売りたい」という気持ちと相反する部分があるので、ちょうど良い塩梅が難しいんですよね。

ポイント3:消費者の承諾無しに電子メール広告やファクシミリ広告を送らない

これは別名「オプトイン規制」と言います。

簡単に規制内容をまとめると、「Web上から利用規約に承諾して登録して無いのにもかかわらずお客様に『これいかがですか?おすすめです!』のようなメールやファックスを送ってはだめですよ」という事です。

「一体どこで僕のメールアドレスを知ったんだろう?」という業者からメールやファックスが送られてきた経験はありませんか?

特定商取引法では、そういった消費者の承諾の無い広告宣伝を禁止しており、事業者はこれを守らなければなりません。

具体的には、どこか業者からメールアドレスや電話番号を仕入れて送るのは禁止ですし、メルマガなどの登録時に「利用規約に同意する」というチェックボックスを設けて、消費者が登録時に確認できるような仕組みをしっかりと作っておく必要があります。

ポイント4:消費者の意に反して契約させようとしない

例えば、申し込みボタンをクリックすると、そのまま自動的に申し込みになってしまうような場合は、消費者の意に反して契約をさせる行為として特定商取引法違反となる可能性があります。

また、このようなあからさまに「消費者の意に反して契約させようとする」行為だけではなく、申し込みをする際に、消費者がきちんと申し込み内容を確認できることや、申し込み前に訂正ができる(申し込みをやめることができる)状態を作っていない場合には特定商取引法違反とみなされる可能性がありますので注意しましょう。

西村先生
このポイント4では、申し込み時の「申し込みのステップ」や「申し込みボタン」の記載が重要になります。
通販ライターあいけん
たとえばどういう風な工夫をすれば特定商取引法違反とはみなされにくくなるのですか?
西村先生
まずは、商品の注文プロセスの中に「注文内容の確認」というステップを組み込むことです。こうすることで、消費者側にとっては「自分が今何を注文したのか?」などをしっかり申し込み前に確認することができ、もし仮に間違った注文をしてしまった場合には、前に戻って訂正することが可能です。

【引用元:消費者庁「平成28年改正特定商取引法について」

通販ライターあいけん
確かに、僕がネット通販で商品やサービスを購入する時には、申し込みの前に必ず「注文内容はこれでよろしいですか?」というページが出てきます。
西村先生
また、こういった「注文内容の確認」のステップが無い場合でも、このボタンを押すと「最終的な申し込み」になりますよ、ということがはっきりと分かる表示がされていたりすれば特定商取引法違反とは見なされない可能性が高くなります。
通販ライターあいけん
なるほどですね。まとめると「消費者が申し込み前にしっかりと申し込み内容を確認できること」「消費者がそのボタンを押すと申し込みになることを認識できること」が大事だということでしょうか?
西村先生
その通りです。他にも細かい点などはありますが、その2点をしっかりと抑えておきましょう!

 ポイント5:定期購入の回数縛りの明記

2017年12月に施行された改正特定商取引法によって新たに追加された規制です。

西村先生
今、ネット通販事業者を悩ませるホットな規制内容ですね!

以下の2点をお申し込み画面、またはお申し込み内容確認画面に明記することが義務付けられました。

  • 定期購入契約である旨及び金額(支払い代金の総額等)
  • 契約期間その他販売条件(※それぞれの商品の引渡時期や代金の支払時期等)

適応されるのは、主に「定期購入の回数縛りを設けている通販」です。

例えば、「初回お試し品980円」などを見て、お試し品だけならいいいかと申し込んでみたけれど、実際は「3ヶ月間の定期購入コースへの加入が条件」だった、など消費者の意に反した契約が結ばれてしまったことが問題となり、この規制が設けられました。

平成29年度に発行された「消費者白書」によれば、健康食品や化粧品などの定期購入型のネット通販に関して「そんな回数縛りがあるとは知らずに契約してしまった」による相談件数が年々増加してきたという現状が、この規制が設けられた最大の要因です。

そのため、今後は、定期購入の回数縛りを設けたり、何か購入において条件がある場合には、申し込み画面や、申し込み内容の確認画面に分かりやすくはっきりとその条件や支払い総額などを明記する必要があります。

西村先生
次の図のようにしっかりと、消費者が申し込み確定前に、定期購入条件などについて確認できるようにしておくことが重要です。また改正特定商取引法では違反者に対しての処置も重くなってきているので、ネット通販をやるならしっかりと守って行く必要があります。


【引用元:消費者庁「平成28年改正特定商取引法について」

特定商取引法に違反するとどうなるの?罰則とは?

特定商取引法では、違反者に対して「罰則」を設けています。

主に次のような罰則が設けられています。

  • 業務改善の指示(第14条)
  • 業務停止命令(第15条)
  • 業務禁止命令(第15条の2)

※他にも程度によって罰則の対象になります。

また、2017年の改正特定商取引法では、業務停止命令などは法人に対してのみ行われていましたが、業務停止命令を受けた法人の役員などが別法人を立ち上げて業務を継続するなどの悪質事例が多発したことを受けて、今後は業務停止命令を受けた法人の役員個人についても業務停止命令や禁止命令が行われることになりました。

そのため、今現在ネット通販事業を運営されている方、もしくはこれから立ち上げようとしている方はますます特定商取引法違反には気をつけなければならなくなりました。

通販ライターあいけん
でも、まぁちゃんと消費者の目線に立って誠意を持って対応していれば大丈夫という事ですよね?ざっくりまとめてしまうと・・・。
西村先生
そうです。どうしてもネット通販はパワープレイに走ってしまう方が多くなってしまいがちなので、誠実な運営をしていればまず問題はありません。しかし、思わぬところで見落としてしまって特定商取引法違反となってしまうケースもあるようなので、しっかりと第三者機関などを使ったり、私など通販コンサルタントに依頼をしたりしながら、しっかり対策していくことが重要ですね!

特定商取引法の改正には今後も注意しよう!

特定商取引法は事業者から消費者を守る法律です。

そのため、今回の改正特定商取引法のように、消費者と事業者とのトラブルが急増したりすると今後も規制が強化される可能性が十分にあります。

また、今回の「定期購入の回数縛り」に関する規制のように、ネット通販事業者にとっては大きな影響を及ぼしてしまう規制が追加されることもあるので、景品表示法と薬機法(旧薬事法)などと共に、特定商取法の改正や動向などについてはしっかりと確認しておくようにしましょう。

西村先生
もし不安な場合や、どう規制に対して対処していいか分からない方は下記お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいね^^

※この記事の内容は平成29年12月に施行された改正特定商取引法の内容の中で重要な部分を抜粋して分かりやすく解説しています。特定商取引法の内容すべてを網羅している訳ではないので、併せて下記特定商取引法の条文や特定商取引ガイドなどもご参照ください。

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西村 公児

西村 公児

東証一部上場企業、年商600億円の大手通信販売会社で販売企画から債権回収まで通販実務を16年経験。その後、化粧品メーカーの中核メンバーとして5年マーケティングに参画。

年商253億円のニュージーランドのシンボルフルーツ企業の販促支援でレスポンス率を2倍にアップ。

講演会や主宰する10億通販塾の経営者、延べ300名以上に「ダイレクト通販マーケティング理論」及び、「LTVベルトコンベア理論」を提唱し、『熟練技術者による技能継承訓練』の認定研修講師として活躍。

更に、国内の注目ビジネスモデルや経営者に焦点を当てたテレビ番組「ビジネスフラッシュ」に出演、東洋経済オンラインに記事連載。

また、著書にはベストセラーとなった、伝説の通販バイブル(日本経済新聞出版社)、【小さな会社】 ネット通販 億超えのルール(すばる舎)がある。

現在、多摩大学 経営情報学部の非常勤講師として「ビッグデータの活用法」について学生に教える。

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