化粧品や健康食品のネット通販をやるなら知っておくべき薬機法(旧薬機法)のOK・NG広告表現
インターネット業界の成長により、化粧品や健康食品の通販サイトも増えました。
なかには、これからネット通販を自身で開業して商品を販売するつもりの人もいるでしょう。
しかし、化粧品・健康食品を販売する場合は薬機法(旧薬事法)を守らなければなりません。
薬機法違反者にはペナルティが課される恐れもあります。本記事では、薬機法(旧薬事法)の概要を説明しながら化粧品・健康食品の広告表示のNG・OK例を見てみましょう。
Contents
ネット通販と広告は切っても切り離せない関係!
ネット通販は広告宣伝をしなければ消費者に認知されません。
そのため、ネット通販と広告は切っても切り離せない関係といえます。
つまり、ネット上で商品広告を載せなければ売上を伸ばすのは難しいということです。
ただ、ネット広告作成時のルールは割と厳しくなっています。
薬機法(旧薬事法)は定期的に改定されるため、情報のアップグレードも必要です。
常に、最新の薬機法情報を手に入れることを心掛けてください。
ネット通販をやるなら気をつけたい薬機法(旧薬事法)
薬機法(旧薬事法)は、医薬品・医薬部外品・医療機器・再生医療等製品などに適用される法律です。
元々は薬事法と呼ばれていましたが、2013年11月に薬機法に改名されました。
薬機法(旧薬事法)では「医薬品・医薬部外品・医療機器・再生医療等製品」の定義だけではなく、医薬品販売ルールも定められています。
消費者が製品を安全に使うために大事な法律なのです。
薬機法(旧薬事法)の中での注目すべきポイントは下記条文です。
- 第66条:「医薬品・医薬部外品・医療機器・再生医療等製品」販売時は、商品の名称、製造過程、効果・効能・性能などを正しく記載しなければなりません。虚偽の内容を乗せることはもちろん、消費者に誤解を与える内容もNGです。さらに、堕胎に関する内容、不快な画像(例.わいせつ画像など)・図の掲載もアウトです。
- 第67条:特別な病気に関する薬ではないか確認した上で広告を作成しなければなりません。特別な病気とは「がん・特定疾病」を指します。例え、一般用医薬品に分類されても、がん・特定疾病の効果効能について載せるのはNGです。もちろん、化粧品・健康食品類にも載せてはいけません。
- 第68条:薬機法の承認を受けていない製品を販売する場合「名称・製造方法・効能・効果・性能」が記載されている広告が禁止となっています。つまり、厚生労働大臣から承認された製品ではないと「名称・製造方法・効能・効果・性能」が記載された広告を運用できないということです。
どんな時に薬機法(旧薬事法)が関係してくるのか?
薬機法(旧薬事法)は「医薬品、医療機器、化粧品、健康食品、食品、健康器具」の広告宣伝時に大きく関係します。
「製品の名称、製造方法、効果効能、性能」を記載するときは要注意。
違反している文言が一言あるだけでアウトです。
近年では、商品のHPで薬機法(旧薬事法)が関わる機会が多いです。
広告の種類には下記のものがあります。
- 商品のHP
- 製品パンフレット
- 冊子
- 雑誌
- 新聞
- POP広告
- チラシ
- テレビ
- ラジオ
- ダイレクトメール(DM)
- 製品の包装紙・容器
- 添付文書・資料
上記の中でもテレビ・ラジオは要注意です。
なぜなら、口頭で医薬品などの商品アピールをする機会があるためです。
生放送だと発言内容の編集がほぼできません。
薬機法(旧薬事法)に違反した結果、スポンサー降板につながる恐れもあります。
ただ、化粧品・健康食品だけではなく一般用医薬品の販売をしようと思っている人もいるでしょう。
そこで、一般用医薬品販売時に大事なルールも説明します。
一般用医薬品は第1類・2類・3類が分かるように販売する
一般用医薬品は、第1類・2類・3類に区分されています。
ネット販売時は、どの分類に該当するか示した上で販売する必要があります。
なお、第1類医薬品でも「スイッチ直後品目劇薬」に分類される商品はネット販売不可なので気をつけてください。
第1類医薬品を販売する場合は、薬剤師がいなければならない
薬剤師が在籍していなければ、第1類医薬品の販売は不可です。
ただし、第2類・3類の医薬品であれば薬剤師が在籍していなくても、登録販売者が在籍していれば販売可能です。
医薬品販売時は届け出の必要がある
医薬品販売時は、最寄りの保健所への届け出が必要です。
なお、居住地ではなく事業地を管轄する地域の保健所への届け出となるのでご注意ください。
近年薬機法(旧薬事法)規制はさらに厳しくなってきている!
薬機法(旧薬事法)は年々厳しくなっているのが現状です。
現在も、薬機法違反で摘発される会社は存在します。
この章では、薬機法違反の事例を見てみましょう。
事例1:マルホ株式会社製造のヒルロイド製品を、他店舗が販売した事例
マルホ株式会社では「ヒルドイド®クリーム 0.3%」など、ヒルドイドを扱った商品を製造しています。
ヒルドイドは、もともとアトピーなどの皮膚疾患に使われる薬です。
しかし、医療用で使われる製品にも関わらず美容目的で利用できることをアピールする販売業者が見つかりました。
そこで、厚生労働省から販売者へ対して注意喚起が出されました。
さらに、マルホ株式会社も自社製品の販売業者向けに注意通知をしました。
他のメーカーの商品を取り扱う場合でも、製造元に迷惑をかけないことが大事だと認識させるニュースとなりました。
事例2:ワイドプランニングの未承認医薬品販売疑いの事例
健康食品会社のワイドプランニングは、未承認医薬品を卸売業者に販売したとして関係者の一部が逮捕されるニュースがありました。
しかも未承認医薬品には、がんに効果がある旨の内容を記載してあったとのことです。
今回の事例では、がんに効く旨を記してはいけません。
ここでお伝えしたいのは、設立から30年以上経っている会社でさえ薬機法違反を犯す会社があるということです。
しかも、対事業者向けの内容で逮捕されたため業界で注目されました。故意ではなくても、違反が判明した段階で逮捕されるケースも十分あるので覚えておきましょう。
事例3:セル源販売本社の事例
ネット通販で自社ブランドの健康食品を販売していました。
しかし、がんに効く旨など医薬品にしか記載できない文言を広告の文言に使っていたとして代表取締役が逮捕されました。
がんだけではなく、生活習慣病・ニキビ・肺気腫など20以上の病気に効くことが広告に記されているため、非常に悪質な事例です。
利用者の声も載せてあり、肩こりや通風など病気が治ったという内容のコメントもありました。
これも、病気が治る製品だと誤解されるためNGです。
さらに、逮捕前には保健所から忠告があったにもかかわらず無視し続けていました。
忠告時を無視し続けると逮捕される確率は上がります。
常日頃から薬機法(旧薬事法)を守ることが大事なのです。
知っておこう!化粧品や健康食品のネット通販の薬機法(旧薬事法)広告NG・OK表現
薬機法(旧薬事法)に違反する文言といっても、具体的なイメージが湧かない人も多いでしょう。
そこで一般化粧品・健康食品の広告でNG(OK)な文言を紹介します。厚生労働省の内容を参考にして説明します。
一般化粧品編
効果効能を謳っている文言は、基本的にNGです。
具体例を5つ見てみましょう。
NG例1:健康な髪が手に入ります(シャンプー・リンス・コンディショナーなど)
「健康な髪が手に入る=髪についた傷を修復する」と誤解される恐れがあります。
薬を使って髪の治療をするというニュアンスになるため薬機法(旧薬事法)に抵触します。
「髪のダメージを補修します」「ハリを与える・しなやかにする」であれば病気が回復する文言ではないためOKです。
もちろん、医薬品に分類されるシャンプーであれば規制は緩くなります。
NG例2:アンチエイジングに効果がある(化粧水・美容液など)
アンチエイジングは「老化を止める(遅らせる)」意味で使う言葉です。
誇大広告となり薬機法(旧薬事法)に抵触します。
化粧品を使っても老化は止まらないため気をつけましょう。
ただし「エイジングケア対策におすすめ」であればOKです。
エイジングケアは「老化による肌のトラブル予防」という意味で使う言葉です。
アンチエイジングとエイジングケアは似たような言葉ですが、意味は異なるため気をつけてください。
NG例3:血行改善を進める(化粧水・美容液など)
血行改善に関する記述も、化粧品では誇大広告となるためNGです。
効果効能に当てはまるため使用してはいけません。
「身体をサポートする」など、ハッキリした効果があることを述べなければOKです。
NG例4:ニキビがなくなる(化粧水・ボディクリームなど)
ニキビがなくなるという文言も使えません。
ニキビ治療薬に該当する商品でない限り、使ってはいけません。
「肌の調子を整えたい方へ」「ニキビを防ぎたい方へ」など、患部が治るという内容を伝えなければOKです。
NG例5:皮膚がんに効果がある
皮膚がんに効果があるという文言も、もちろん使ってはいけません。
一般用医薬品でも使えないため要注意。誇大広告となり逮捕されるケースもあります。
「肌の調子が気になる方へ」「キメを整える」「肌荒れを防ぐ」などであればOKです。
健康食品編
健康食品も効果効能を謳っている文言はNGです。
ただ、化粧品とは使い勝手が違うためイメージしづらい人もいると思います。
健康食品の主なNG例は下記の通りです。
NG例1:✖✖(病名)に効果がある〇〇(成分名)が含まれている
病気に効果がある成分が含まれていると言い切るのはNGです。
例えば「胃腸炎が治る〇〇が含まれている」などです。
医薬品ではないため、効果があると言い切ってはいけません。
「身体の調子を整えたい人へ」であれば、病気が治ることを載せていないためOKとなります。
NG例2:〇〇(成分名)で痩せられる
有効成分〇〇で、痩せられると言い切るのも効果効能にあたるためNGです。
「栄養バランスが気になる人へ」「不規則な生活を送っている人へ」という文言であればOKです。
NG例3:〇〇先生の発表で、✖✖(病名)を改善することが分かり…
大学教授など権威者の事例を利用して、消費者に効果効能がありそうな製品だと思わせるのもNGです。
その他に雑誌などの記事、医師のコメントを掲載して効果効能がありそうな健康食品に魅せるのもNGなので覚えておきましょう。
NG例4:医薬品だと想像させる文言(薬効成分有、漢方など)
健康食品なのに漢方や薬効成分有などの文言を使って、医薬品だと思わせる広告もNGです。
漢方や薬効は薬の効果を述べる時に使われます。
消費者に誤解を与える恐れがあるため認められていません。
薬機法(旧薬事法)に違反するとどうなるの?
薬機法(旧薬事法)に違反するとペナルティが発生する場合があります。
ただし、ペナルティにはいくつか種類があるため、罰則や処置を詳しく見てみましょう。
懲役刑
懲役刑は、最大2年間です。
つまり、最大で2年間刑務所内で生活を送る恐れがあるということです。
ただし、場合によっては執行猶予つきの場合もあります。
執行猶予がついた場合、執行猶予期間内に犯罪を起こさなければ懲役刑が免除されます。
ただし、犯罪歴・罪状などによって懲役刑の年数・執行猶予の有無は異なるため気をつけましょう。
罰金
罰金は最大で200万円です。懲役刑を喰らわずに、罰金だけで済むケースもあります。
なお、罰金が支払えない場合は労役が課されます。
労役とは刑務所内で働くことです。
日給は、原則5,000円となります。
懲役+罰金
懲役刑と罰金の両方課されるケースもあります。
この場合も懲役刑は最大2年間、罰金は最大200万円となります。
罪が軽いからといって、懲役刑と罰金の両方が課されないというわけではないので覚えておきましょう。
行政指導
行政指導とは、保健所などが業者へ忠告・指導することです。
この段階で改善すれば、逮捕されることはほぼありません。
逆に、行政指導を無視すると逮捕されたり罰金を支払ったりする可能性が上がるということです。
なお、状況によっては行政指導後に報告書の提出をしなければならない場合もあるため気をつけましょう。
化粧品や健康食品を販売する際には、広告表現に気をつけよう!
化粧品や健康商品を取り扱う場合は、広告表現には十分気をつけましょう。
広告表現の違反が発覚すると該当商品を取り扱えなくなるだけではなく、営業停止処分を喰らうケースがあります。
また、宣伝広告の外注時も薬機法(旧薬事法)の内容を十分説明した上で執筆してもらうのも重要です。
なかには、薬機法(旧薬事法)のプロフェッショナルが集まっているライター集団もいます。
薬機法に詳しいライターへ依頼すると広告作成もラクになるでしょう。
ただ、最終的には自分のビジネスを守るのは自分です。
ビジネスを継続させるためにも、薬機法(旧薬事法)の基本的な知識は頭の中に入れておきましょう。
※本記事の内容などは2018年10月現在の情報です。
※薬機法(旧薬事法)は随時改定されます。厚生労働省や自治体で発信される情報も合わせてご確認ください。