ネット通販で重要な年間LTVの考え方
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年間LTVとは?
LTVとはLife Time Valueの略であり、「顧客生涯価値(生涯顧客価値)」のことです。
1人のお客様から継続的な利益を得ることを表すマーケティング用語の1つです。
つまり、年間LTVとは、単一顧客からの年間累積取引高(累積売上高)のことです。
簡単に言えば「1年間に同じお客様がどれだけ商品を購入してくれたか?」を示す数字です。
ネット通販の売上を継続的に伸ばしていくためには、立ち上げる前に年間LTVを設計し、実際に立ち上がった後にはそれを最大化していく施策を取っていくことが大切です。
ネット通販を始めるのであれば、まず最優先でやるべきことが年間LTVの基準の設計、そしてそれを最大化する仕組みの構築です。
なぜ1年間でLTVを見るのか?
年間LTVの計算方法
年間LTVは次のような公式で計算することができます。
例えば単価6,000円の健康食品を1人のお客様が年間3回購入(1回につき1個の購入)したとすれば、年間LTVは次のようになります。
つまり、年間LTVを設計するためには、販売する商品の「年間購買数量」「年間購買単価」「年間継続購買回数」の基準を具体的に決めていく必要があるのです。
売れるネット通販にするための年間LTVの基準
年間LTVはただ決めるのではなく、次のような基準を満足するように年間LTVを構築していく必要があります。
- 年間LTVが18,000円以上
- 年間継続購買回数が3回以上
年間LTVを考慮した商品ジャンルの選び方
年間LTVは最初に設計しておくものです。
そのためネット通販で何を売るのか?を決める際に非常に重要な基準となります。
おそらく、「すでにネット通販で販売する商品が決まっている場合」と「これから決める場合」の2パターンあると思います。
それぞれ年間LTVという基準に沿ってどのような商品ジャンル選びをしていけば良いのか?について解説していきます。
ネット通販で販売する商品が既に決まっている場合
販売する商品が決まっている場合には、まずその商品における年間LTVを計算してみましょう。
例えばマッサージチェアを商品として販売したい場合には、次のように年間LTVを予想することができます。
- 年間購買数量:マッサージチェアを1回の取引で何個も買うことはほとんどないため1回
- 年間購買単価:安いもので5万円ぐらい
- 年間継続購買回数:マッサージチェアを1年間で何度も買うことはほとんどないため1回
これで年間LTVを算出してみると次のようになります。
しかし、この場合には「年間LTVが18,000円以上」という基準はクリアすることができますが「年間継続購買回数が3回以上」という基準を満足することができません。
そのため、ネット通販としてマッサージチェアを販売するのはあまり適していないという判断ができます。
ネット通販で販売する商品をこれから決める場合
販売する商品をこれから決める場合には、「年間LTVが18,000円以上で年間継続購買回数が3回以上」の商品ジャンルを楽天市場にあるカテゴリーの中から選んでいきましょう。
楽天市場にあるカテゴリーの中から商品を選ぶ理由は、いわゆるブルーオーシャンではなくレッドオーシャンの中から商品ジャンルを選ぶためです。
名もない通販会社がブルーオーシャンの商品を出したところで、社会的信用のなさから商品は売れにくいと言えます。
しかし、レッドオーシャンの中であれば、競合他社は多いですが、商品自体に知名度があり、需要があります。
しかし、その競合他社が言っていない切り口で商品をPRすれば、小さな通販会社でも商品を売ることができるのです。
そのため、販売する商品をこれから決める場合には、1つ条件を増やして、次の3つの条件を満足する商品を選び、年間LTVを構築していきましょう。
- 年間LTVが18,000円以上
- 年間継続購買回数が3回以上
- 楽天市場にカテゴリーがあるレッドオーシャンのジャンル
年間LTVを最大化させる事が重要
年間LTVを構築したら、それをいかに最大化させるかがネット通販においては重要です。
なぜなら、年間LTVを最大化させる事で、ネット通販の利益を最大化させることに繋がるためです。
例えば100万円の広告費をかけて100人の新規顧客を獲得した場合、顧客獲得コスト(CPO)は1人につき1万円になります。
※CPA=見込顧客獲得コスト(メール会員、無料会員など)
※CPO=新規顧客獲得コスト(本商品、定期コースなど)
単品リピート通販の利益の計算式は以下になります。
この計算式において利益を最大化させるために必要なのは次の2つの事です。
- LTVの最大化
- CPOの最小化
年間LTVの最大化をすれば、CPOは自然と下がって行くので、結果的に年間LTVを最大化させる事こそが、ネット通販を成功に導くために一番重要なコトと言えます。
年間LTVの最大化は送料の値上げ対策にも繋がる!
昨年物流大手のヤマト運輸が送料の値上げを実施したことは記憶に新しいと思います。
通常は、配送コスト比率は10%を基準に考えますが、昨年の送料の値上げ分は7〜8%にも相当すると言われており、結果的に配送コスト比率が10%を大きく上回ってしまい、ネット通販会社を悩ませる大きな要因となりました。
今後も働き方改革などの影響で、送料の値上げは続くと言われています。
実はこの送料値上げ問題は今に始まったことではありません。
ネット通販において送料の値上げ問題は避けて通れない道なのです。
しかし、年間LTVが20,000円以上の場合、または年間LTVが大きくなるにつれて元々設定していた10%という送料比率に影響が出づらいと言われています。
このように、ネット通販会社すべてが抱える「送料値上げ問題」という慢性的な問題を解決するためにも年間LTVを上げていくことは非常に重要な事なのです。
これからは定期購入に頼らず年間LTVを最大化していく必要がある!
これまでは、「いかに商品の定期購入につなげるか?」が重要視されており、定期通販の「回数縛り(初回を安く購入できるが、最低3回以上定期購入しなければならないという売り方)」が主流でした。
しかし、2017年12月1日に施行された「改正特定商取引法」により、定期通販の「回数縛り」がある場合には、必ずその「合計金額」「契約期間」「その他販売条件」などを分かりやすく明記しなければならなくなりました。
また、時代の流れとともに「定期購入という縛り」はお客様側からも敬遠されるようになり、実質「定期通販の回数縛り」は崩壊したと言えます。
年間LTVを最大化させる方法とは?
定期通販の回数縛りの手法が崩壊した昨今、年間LTVを最大化させるためには顧客のファン化(優良顧客化)が重要です。
顧客がファン化することによって継続して購買してくれる期間や回数も費用と労力をかけることなく自然と伸びていきます。
このようなお客様をファン化させるためには次のような様々な施策を検討して行く必要があります。
- 商品のコンセプトの構築
- 販売者のストーリーの構築とコンセプトとの連動
- 顧客に合わせた同梱物やDMなど販売後のアフターフォロー
- ソーシャルメディアなどを使ったPR活動
特に重要なのが「販売者ストーリーの構築と商品コンセプト」との連動させる「ダイレクト通販マーケティング理論®️」に基づいたネット通販構築です。
分かりやすく言えば、「販売者の体験や経験に基づくストーリーと商品コンセプトを連動させ、商品コンセプトに一貫性を持たせることで多くの人を巻き込みながら、価格競争などに巻き込まれることなく商品を売って行く」手法こそがダイレクト通販マーケティング理論®️です。
現にネット通販の大企業などは、すでにこういった顧客のファン化をするために、自社サイトに次のようなコンテンツを掲載するなどして、「どうせ買うならここで買いたい!」とお客様に思わせるような「ファン化」を促進しています。
- 代表者のビジョン
- 代表者のメッセージ
- 商品誕生ストーリー・誕生秘話
- お客様にとってのお役立ち情報、便利情報
- そのほかのコンテンツ
具体的には上記様なコンテンツと商品コンセプトを連動させ、一貫性を持って販売することで、「あ〜なるほどね!」という気持ちや、「分かる!」という共感の気持ちを喚起させることで、商品の販売につなげているのです。
このように、今までのような力技ではネット通販ビジネスは成功できない世の中に大きく変化してきています。
だからこそ、「ファン化」を促進するネット通販を構築することが重要なのです。
ダイレクト通販マーケティング理論®️に基づきネット通販を構築することで、定期購入に頼らない「年間LTVの最大化」が実現可能になります。
詳しくは次の「ダイレクト通販マーケティング理論®️」の記事をご覧ください。
ネット通販で顧客数を増やすためには、新規顧客を獲得することが必要不可欠になってきます。しかし、この新規顧客獲得には新聞広告をうったり、リスティング広告をうったり、莫大な広告費用が必要になってきます。
一方で、ダイレクト通販マーケティング理論®️の中で構築されたネット通販では、顧客をファン化させる仕組みや、既存顧客をクロスセル(※他の商品などを合わせて購入してもらうこと)やアップセル(※同ジャンルのより高価な商品を購入してもらうこと)ができる仕組みを構築するため、労力をかけることなく顧客維持のコストを下げることができます。
まずはダイレクト通販マーケティング理論®️に基づくネット通販の仕組み構築をしてから、新規顧客獲得を行うことのが2018年以降、年間LTVを最大化するために重要なポイントになってきます。