定期購入だけじゃない!単品リピート通販のもう一つのビジネスモデル
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単品リピート通販とは?
単品リピート通販とは、その名の通り、単品(一つの商品)をリピート(続けて購入)してもらう通販のビジネスモデルの一つです。
一つの商品を定期的に購入してもらい利益をあげるビジネスモデルであるため、お客さまが定期的に購入するもの、つまり商品は「消耗品」が中心になります。
一般的な通販と単品リピート通販の違いとは?
一般的に通販のビジネスモデルは「総合通販(ゼネラル通販とも呼ばれます)」と「単品リピート通販」の2つに大別されます。
一般的に通販として認知されているのが「総合通販」です。
例えば総合通販の代表格がAmazonや楽天などです。
総合通販は、消耗品から食料品、健康食品、家電、インテリア、アパレル、書籍などありとあらゆるジャンルの商品を豊富に取り揃えているのが特徴です。
一方で単品リピート通販は、1つの商品を定期的に購入してもらうビジネスモデルなので、総合通販に比べて商品ラインナップはうんと少なくなります。
これが総合通販と単品リピート通販の最大の違いですが、他にも次のような違いがあります。
表1、総合通販と単品リピート通販の違い
総合通販 | 単品リピート通販 | |
---|---|---|
商品ジャンル | あらゆるジャンル ※食料品、日用品、健康食品、家電、インテリア、アパレル、書籍など・・・ |
消耗品 ※食料品、日用品、化粧品など・・・ |
商品ラインナップ | 多い | 少ない ※商品が1つでも始められる |
仕入れ | 仕入れ販売 ※他のお店でも購入可 |
自社ブランド ※他のお店では購入不可 |
売上規模 | 大きい | 小さい |
価格競争 | 他のお店でも購入できるため、価格競争は避けられない | 他のお店で購入できないため、価格競争になりにくい |
利益率 | 価格競争になりやすく、また仕入れ販売であるため利益率が低くなりやすい | 価格競争になりにくく、自社ブランド製品であるため利益率は高くなりやすい |
広告の効果 | 出やすい ※すでに知名度のある商品を売っているため |
出にくい ※知名度が全くない自社ブランド製品を販売するため |
代表的な会社 | Amazon、楽天、ZOZOTOWN、アスクル、ケンコーコム、Yahoo!ショッピング、ポンパレモール、ベルーナ、ニッセン、セシール、ベルメゾンネット、dinos(ディノス)、スクロール、通販生活など・・・ | サントリーウェルネス、DHC、オルビス、ファンケル、再春館製薬所、ライオン、山田養蜂場、やずや、オイシックスなど・・・ |
単品リピート通販を始めるメリットとデメリットとは?
一般的な総合通販に比べて、単品リピート通販のビジネスモデルでネット通販を立ち上げる方が多いのは、自社ブランド製品を販売するため「価格競争になりにくい」ことや「利益率が高くなりやすい」というメリットがあるからです。
また、総合通販は、多くの商品を仕入れなければならないことから仕入れコスト、商品を保管する保管コスト、在庫管理などの人的コストがどうしてもかかってきてしまいます。
そのため、総合通販を始めるためにはまとまった事業資金と、それを回す人員が必要になってくるため、参入障壁が非常に高いビジネスモデルとなっています。
一方で、単品リピート通販は、比較的少額の事業資金で始められ、商品が少ないことから1人でも回すことが可能です。
総合通販よりも参入障壁が低いということも単品リピート通販を始めるメリットの一つです。
単品リピート通販は総合通販に比べて商品を販売するために、より高度なマーケティング戦略を練らなければならないというデメリットがあります。
なぜなら、総合通販が販売するのはすでに知名度がある仕入れ販売の商品です。
そのため、ある特定の商品が欲しいというお客様の方からその商品を探してきてくれます。
お客様の方から商品を探してきてくれるため、一般的なマーケティングの原理原則である「見ない」「信じない」「行動しない」という3つの壁を簡単に突破しやすく、購入に繋がりやすいのです。
例えばポカリスエットが欲しいというお客様が来た場合、ポカリスエットの商品ページを見ただけで次のようにすべての壁を突破して購入します。
- 「見ない」→ポカリスエットのページなので見る
- 「信じない」→ポカリスエットが欲しいという時点で商品を信頼しているため信じる
- 「行動しない」→ポカリスエットが欲しいとすでに思っているため購入する
例えば葉酸サプリが欲しいという顧客が来ても、そう簡単に「見ない」「信じない」「行動しない」の壁を突破してもらうことはできません。
そんな商品を購入してもらうためには、購入する顧客層がどのような商品を求めているのかの調査や分析、顧客層の絞り込み、購入してくれる顧客像の作り込みなどを徹底的に行い、その顧客に対して商品の価値を誰が、どのように、伝えていくのかをしっかり構築していく必要があります。
また、購入してくれた顧客が「また次も買いたい」と思ってもらえるような、ファン作りの仕組みを作っていく必要があります。
総合通販であれば、そもそも商品の定期購入はあまり重要ではなく、今日はポカリスエットが欲しい、明日はコカコーラが欲しい、明後日はペプシコーラが欲しい、と毎日のように変わる顧客の欲求を満足する商品ラインナップがそこにあれば購入してもらえます。
しかし、単品リピート通販の場合には商品ラインナップは知名度のない自社ブランド製品です。基本的に人間の深層心理として「一度購入したものをもう一度買わない」という原則があります。
その「リピートしない」阻害要素をいかに排除し、「また次も買いたい」と思ってもらえるか、その戦略と仕組みをしっかりと構築していく必要があります。
例えば同梱物や、定期的なDMやフォローメールの送付などがこれにあたります。
表2、単品リピート通販のメリットとデメリット
メリット |
|
---|---|
デメリット |
|
単品リピート通販に適した商品ジャンルとは?
単品リピート通販は総合通販と違い、一つの商品を定期的に購入してもらうことで利益を積み重ねていく通販のビジネスモデルの一つであることは先ほどご紹介しました。
一つの商品を定期的に購入してもらうためには、その商品が「何度も購入が必要なもの」である必要があります。
そのため、健康食品や化粧品、食品、文具、雑貨などの消耗品が商品として適しています。
まとめると次の表のようになります。
表3、単品リピート通販に適した商品ジャンル
食品・飲料 | 水、お茶、お米、コーヒー、お酒、野菜、加工食品、お菓子など・・・ |
---|---|
健康食品 | サプリメント、青汁、栄養ドリンク |
日用品 | 歯磨き粉、ボディーソープ、シャンプー、洗剤、入浴剤など |
化粧品 | 化粧水、美容液、美容クリームなど |
文具 | コピー用紙、ペン、ノート、封筒など |
美容雑貨 | コンタクトの洗浄液、ダイエット器具、下着など |
その他雑貨 | ティッシュペーパー、トイレットペーパー、収納グッズなど |
単品リピート通販のビジネスモデル
単品リピート通販には「定期購入への誘導の仕方」によって「シングルステップ方式」と「2ステップ方式」の2種類のやり方が存在します。
表4、単品リピート通販の2つのやり方
シングルステップ方式 | 本品購入 ↓ 定期購入 |
---|---|
2ステップ方式 | お試し商品 ↓ 本品購入 ↓ 定期購入 |
シングルステップ方式は、いきなり本品を通常価格で販売する方式です。顧客にとっては購入のハードルが高くなりますが、顧客の「商品をキャンセルできない」という心の壁を突破することができればキャンセル率は低くなり、また定期購入にも繋がりやすくなります。
2ステップ方式は今現在単品リピート通販では主流になりつつあるビジネスモデルです。
特徴は、本品の販売の前に必ず無料や半額で提供するお試し商品があることです。
このお試し商品があることにより商品の購入障壁はぐんと下がるため、一般的には2ステップ方式の方が成功しやすいと言われています。
また、単品リピート通販は次の図のように、多くの顧客が定期購入すれば、するだけ収益性が上がり、新規顧客獲得にかかった広告費用の回収期間が早くなってきます。
(引用元:日本経済新聞者「伝説の通販バイブル」西村公児著より抜粋)
単品リピート通販のビジネスモデルがうまくいかない理由
- 大手通販会社のやり方を真似れば良い
- 集客が成功すれば、売上もあがる
- いい商品を売れば売上もあがる
定期購入だけじゃない!単品リピート通販のもう一つのビジネスモデル
ファネル(漏斗)方式とは、一言でいうと、薄利多売戦略をやめるための「松竹梅」商品の考え方を使った単品リピート通販のもう一つのビジネスモデルです。
マーケティング用語で松竹梅それぞれをフロントエンド商品(梅)、ミドルエンド商品(竹)、バックエンド商品(松)といいます。
いわゆる最初は、低価格の集客用商品であるフロントエンド商品で集客し、ミドルエンド商品で利益をあげながら、より高額なバックエンド商品への橋渡しを行います。
そして、最終的にバックエンド商品を販売することによってより多くの利益をあげるという収益モデルになっています。
このファネル(漏斗)方式の特徴としては、先ほどご紹介した、単品リピート通販がうまくいかない次の3つの理由をすべてうまく行くように構築できる点、そして1つの商品だけではなく、それをビジネス全体のリピートへと発展させることができる点です。
- 大手通販会社のやり方を真似れば良い
- 集客が成功すれば、売上もあがる
- いい商品を売れば売上もあがる
ファネル(漏斗)方式では、フロントエンド商品、ミドルエンド商品、バックエンド商品に一貫性があれば商品を1つに絞る必要はない、またそれが商品でなく○○体験や○○サービスなどでも良いとしています。
例えば、美顔器などは1度買ったらそう何度も買い換える商品ではありません。
しかし美顔器を購入した方は、それをより効果的に使うための美顔器専用フェイシャルクリームにも興味がある可能性が高いと言えます。
このように他の関連商品の購入を促すことをマーケティング用語でクロスセルといいますが、クロスセルを行うことによって、美顔器専用フェイシャルクリームの定期購入が売れたとすれば、これはファネル(漏斗)方式のビジネスモデルにおいて大きな範疇ではミドルエンド商品と考えることができます。
また同様に、美顔器と美顔器専用フェイシャルクリームを使っているうちに、それだけではお客様が満足しない可能性も出てきます。
そういった場合にフェイシャルエステサロンの定期チケットの購入を促すことで、購入してもらえる可能性は高くなると考えられます。
このようにお客様が購入した一貫性のある商品群の中でより高単価、ハイグレードな商品の購入を促すことをアップセルと言います。
もしこのアップセルによってフェイシャルエステサロンの定期チケットが売れたとすれば、これはファネル(漏斗)方式のビジネスモデルにおいて、大きな範疇では、美顔器と美顔機専用フェイシャルクリームの定期購入のバックエンド商品とらえることができます。
- フロントエンド商品:美顔器の購入
- ミドルエンド商品:美顔器専用フェイシャルクリームの定期購入
- バックエンド商品:フェイシャルエステサロンの定期チケット
- フロントエンド商品:お試し商品
- ミドルエンド商品:本品購入
- バックエンド商品:定期購入(リピート)
そういった面白さがあるというのもファネル(漏斗)方式の最大の魅力です。
大手総合通販も実はリピート通販の一つ
次の図は、個人のネットショップから、すべての通販のビジネスモデルを比較した表です。
大手通販の「ネット・スマホ」と書かれている列が「単品リピート通販」のビジネスモデルであり、「カタログ・TV」と書かれている列が「総合通販」のビジネスモデルです。
このように、それぞれのビジネスモデルを表してみると、実は業界大手の会社が取り入れている「総合通販」というビジネスモデルも実はリピート通販の一つと言うことができます。
例えば総合通販のビジネスモデルを取り入れ大成功を納めているZOZOTOWNを例に「なぜ総合通販もリピート通販の一つということができるのか?」その理由をご紹介いたします。
ZOZOTOWNはアパレル商品を取扱う大手通販会社です。一見するとアパレルというジャンルのなかでアウターやインナー、下着、ズボンなどありとあらゆるジャンルの商品を扱っているため、そこにリピートの仕組みはないのでは、と思ってしまいます。
これをファネル(漏斗)方式の3つの商品に分解してみましょう。すると次のようになります。
- フロントエンド商品:セール中のアパレル商品
- ミドルエンド商品:自分の好きなブランドのアパレル商品
- バックエンド商品:高級ブランドアパレル(サイトで購入するというコトのリピート)
- フロントエンド商品:春物
- ミドルエンド商品:夏物
- バックエンド商品:秋物
- バックエンド商品:冬物(季節物のリピート)